佐藤大樹、芝居は岩田剛典を参考に「きっと岩さんも喜んでくれると思うので、ぜひ書いてください!」――「理想ノカレシ」インタビュー

TBSでこの春からスタートした新たな深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」で、2作目となる「理想ノカレシ」が放送中。本作は、「TBS連ドラ・シナリオ大賞」第4回大賞受賞者の渡邉真子さんが原案、第5回の入選者である木村涼子さんが脚本を担当。2人の若手女性脚本家がタッグを組み、アラサー女性のリアルな恋愛観と、こんなことがあったら… という夢のような恋愛模様をオリジナル脚本で描きます。

仕事をバリバリとこなす “ハイスペック女子” の主人公・小野寺優芽子を演じるのは、モデルや女優としてはもちろん、「日曜日の初耳学」(同系)ではMCを務め、幅広く活躍する大政絢さん。優芽子は、外ではデキる女風でキメていますが、家では家事もファッションも適当な残念女子。中でも恋愛には超不器用で、いまだに高校時代の初恋の相手が理想の男性だと思い続ける“夢見る夢子”です。

そんな優芽子の“初恋の人”にそっくりで、ミステリアスな村瀬光琉を演じるのは、佐藤大樹さん。佐藤さんは、優芽子の初恋の相手であり王子様のような男子高校生・神宮寺望役も同時に務めています。今回はそんな佐藤さんにインタビュー。初めての1人2役に挑戦した感想や芝居で参考にしている人、物語後半の見どころなどたっぷり語っていただきました。

――本作はオリジナル作品ですが、原作のある作品との違いや演じていて楽しい部分があれば教えてください。

「原作がある作品をやらせていただく時は、ファンの方に失礼のないように原作を読み込んで容姿を近づけたり、アニメがある場合はしゃべり方を似せていたりするのですが、オリジナル脚本では自分の好きに演じられる楽しさを感じています。衣装合わせの段階から、監督と一緒に光琉のイメージをすり合わせることができたのもよかったですし、衣装や髪形のイメージから、キャラクターを自分で作り上げられるっていうのはオリジナルストーリーならではだなと」

――光琉のイメージを決めていく際、佐藤さんからアイデアを出したことはありますか?

「言葉遣いについてアイデアを出させていただきました。少しでも守ってあげたいと思ってもらえるように、かわいらしい言葉遣いを意識しています。例えば、台本では祖母のことを『ばあちゃん』と呼んでいるのですが、『おばあちゃん』に変えさせてもらったり、優芽子との会話で最初は敬語を増やしたいとお伝えしました。物語後半で距離が近づいてきた時にタメ口になった方が、ドキッとするのではないかなと思って」

――原作がない分、難しいと思うところはありますか?

「どういう表情をしたらいいか分からないシーンに関して、原作があれば漫画のキャラクターの表情を参考にしているのですが、オリジナル作品ではそれができないので、自分にとってもチャレンジでありつつ、そこを探りながらお芝居できるのが楽しいと感じています! ただ、春に撮影していた『liar』(MBSほか)で演じたイチというキャラクターはほぼ笑わない役だったので、笑顔を忘れてしまっていて。本作で演じる光琉や神宮寺くんは、ものすごく爽やかでにこやかなイメージだったので、どうやって笑うんだったっけ?ってなりました。頬の筋肉のトレーニングを夜な夜なやってみたりしています(笑)」

――確かにギャップがすごいですよね(笑)。正解の表情を決める時はどうしているのでしょうか?

「本番の前の段取りで自分で考えてきたいくつかのパターンを監督に見てもらって、最終的には監督に委ねるようにしています!」

――個人的に光琉が口を少しすぼめて笑うシーンにキュンとしているのですが、あの笑い方にしている理由はあるのでしょうか?

「いろいろな顔を試してみたんですけど、歯を見せないハニカミっていいなと思って。歯を見せてしまうと、やんちゃな印象の方が強くなると思って、あえて歯を見せずにはにかむお芝居にしています」

――なるほど。撮影が進むにつれて芝居も固まってきたのでしょうか?

「役柄にはかなり慣れてきました。でも途中から監督が変わる作品だったこともあり、そのギャップに合わせるのが難しいですね。セリフの間の取り方が監督によって違うのですが、撮影が後半になってきて『もっとためて言って』と言われることが多くなったんです。それぞれ応えるのに思いのほか苦戦しました」

――役者の皆さんはそういうギャップも感じながら作品を作られているんですね。話し方といえば、光琉は滑舌よくしゃべっているのが印象的です。

「そうですね。好青年感を出すために、なるべくはっきりとしゃべるようにしています」

――その好青年感から、いざという時はグイッと行くのがすごくいいなと。

「光琉は普段は柔らかい性格ですが、やっぱりオスが出てしまう瞬間があって、そこは大事だなと思って演じています。優芽子に近づいてキスをするかしないか…みたいなシーンも監督と話し合って、どこまで引き伸ばすかなど、細かく話し合いました」

「岩さんとの会話の中から勝手に“神宮寺らしさ”を盗んでいます」

――放送決定時に「まさに憧れていた役どころ」とコメントされていましたが、どういう部分にそう感じたのか詳しく教えていただきたいです!

「年上の女性と恋愛する作品って近年たくさんあって、僕も視聴者として楽しく見ていたので、20代のうちにいわゆる子犬系な役柄を演じてみたいなと思っていたんです!」

――しかも今回は初めての1人2役ですよね。2人を演じ分ける時に意識していることはありますか?

「光琉の場合は、ちょっと不気味な子だなと思っていたんです。急にお金を貸してもらって、後日返しに会社まで来て。それでも近くにいたいと思わせる小動物っぽさや、放っておけない雰囲気を出せるように意識しています。神宮寺の場合は、少女漫画に出てくる憧れを自分が体現したいなと思って、ビジュアルからしぐさまで意識しています」

――身近で参考にした方はいらっしゃいますか?

「光琉は…(少し悩んで)、僕の弟ですね。弟は一つ下なのですが、ずっとだらしないんです(笑)。彼が引っ越す時も全部僕が手伝わなきゃいけなかったりして、なんかちょっとムカつくけど放っておけないんですよね。弟を俯瞰で見て、これが“放っておけない人”なのかと、参考にしたりしました。神宮寺は、(即答で)岩田剛典さんです。プライベートでもたくさんご飯に連れていってもらっているので、アドバイスを求めているわけではないのですが、会話の中から勝手に神宮寺らしさを盗んでいます」

――岩田さんには役柄の参考にしていることは伝えているのでしょうか?

「岩さんから、『またドラマ出るんだ! すごいね!』って言ってきてくださったのですが、僕から役の参考にさせていただいてますとかは一言も伝えていないです(笑)。もしかして記事の見出し候補かな? きっと岩さんも喜んでくれると思うので、ぜひ書いてください!」

――1人2役を実際に演じて、難しかったことや印象に残っているエピソードはありますか?

「優芽子の回想の中で、観覧車の中の光琉と神宮寺が重なるシーンがあるんです。そこの2人の使い分けは難しかったですね。体力的にも大変だったシーンの一つでした。光琉の姿で観覧車を降りて、また1周するまでに神宮寺の衣装に着替えて戻らなくちゃいけなくて。スタッフさんと猛ダッシュして早着替えして、ゼーゼー言いながら撮影したシーンなんです(笑)」

――観覧車1周って長いようで短いですよね(笑)。

「そうなんです。あとは、神宮寺を演じた時に、学生時代の優芽子の頭をポンポンするシーンがあったのですが、そのシーンで結構照れてしまいました(と、思い出しながら恥ずかしそうにする佐藤さん)。高校生の優芽子役も、実際に17歳の菅田(愛貴)さんが演じてくださって、10歳上の僕が神宮寺を演じるというギャップもあったので余計に恥ずかしくて。ほかにも、カメラ目線で普段のドラマではないようなキラキラシーンを撮る機会があって、そこは照れたっていう意味でも大変だったな」

――作中には胸キュンシーンがたくさん出てくると思うのですが、演じていてキュンキュンしたシーンや印象的なシーンがあれば教えてください。

「公園デートをするシーンで、優芽子と2人でキャラメルを食べるんです。優芽子が『食べる?』って言ってキャラメルを差し出してくれるのですが、それを僕の唇が指に触れる形でパクって食べる演出があって。台本を読んでいる時から照れるだろうなと覚悟はしていたのですが、いざ撮影の時もめちゃくちゃ照れましたね。カットかかった後に恥ずかしくなって、大政さんにめっちゃくちゃ謝りました。もう目も見られなかったです(笑)」

――あのシーンにそんな裏話があったとは! 距離が近づくシーンに弱いのでしょうか?

「そうですね。今までも恋愛作品はやらせていただきましたが、少女漫画のようにキュンキュンするシーンは経験してこなかったので、キスシーンよりもそういうシーンの方が緊張する感覚があります」

理想の女性像、男性像は?

――優芽子は大人になった今でも高校時代の初恋の相手を理想の男性だと思っていますが、佐藤さんは学生時代から理想の彼女像は変わりましたか?

「理想の彼女像は変わってないですね。一番はお互いに尊敬できる人がいいなと思っています。仕事でもプライベートでも。あとは、僕は料理ができないので、学生時代から家に帰ったらおいしいご飯を作ってくれる人がいいなって思っています」

――ドラマでは優芽子が落ち込んだ時に優しく寄り添うシーンが描かれましたが、佐藤さんならどうされたいですか?

「(即答で)やっぱり料理を作ってもらいたいですね。温かい料理を作ってもらえたら心が温まると思います」

――光琉が優芽子に優しくLINEをしたり励ます様子が描かれていますが、佐藤さんは声をかけられたいタイプでしょうか?

「僕はそっとしておいてほしいタイプかもしれません。基本的に料理以外は自分でなんでもできてしまうタイプなので、そういう部分で甘えたいとかは思わないかも」

――佐藤さんが思う理想の男性像も教えていただきたいです!

「一番は仕事に真っすぐ向き合っている人。周りへの気遣いがきちんとできる人、それは異性でも男性でも。僕の実の父か、HIROさんはまさに理想ですね。もっと身近な人だと岩さんとか、AKIRAさんかな。気遣いはもちろんですが、後輩をサシ飯に連れていってくれるところがすてきです。年を重ねてもそういうことをできる人たちなので、僕もそういう先輩でありたいなと思っています」

――では最後に、物語後半に向けての見どころをお願いいたします!

「これから光琉の正体が少しずつ見え隠れしてくるシーンが増えると思います。後半はそういう部分にも注目しながら、2人の恋の行方を見守ってほしいです! そして、先行配信で地上波放送より早く見ていただけるのが本作のいいところなので、ぜひ配信でいち早くチェックしてもらいたいな!」

【プロフィール】

佐藤大樹(さとう たいき)
1995年1月25日、埼玉生まれ。水瓶座。A型。 EXILE、FANTASTICS from EXILE TRIBEのメンバー。 近年の主な出演作に、映画「小説の神様 君としか描けない物語」(2020年)にてダブル主演、ドラマ「マネキン・ナイト・フィーバー」(日本テレビ)ほか。「The Usual Night いつもの夜」(ABCテレビ)に出演中。

【番組情報】

「理想ノカレシ」
TBSほか
火曜 深夜0:58〜1:28

取材・文/ A・M(TBS担当) 撮影/蓮尾美智子

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