ときめき夢テント・木下大サーカス岡山公演(7)空中ブランコ 難易度上げ続け魅了

フィナーレを飾る空中ブランコ。ショーが進むにつれ、飛び手、受け手ともが目隠ししたまま演技するなど難易度が増していく

 空中ブランコは木下サーカスの創業間もない頃からあり、今もショーのフィナーレを飾る不動の演目だ。

 20メートルの間隔を空けて立つ2基のジャンプ台から1人ずつ飛び出す。中央付近でバーから両手を離した飛び手を逆さの体勢でぶら下がった受け手がキャッチ。こうした基本的な演技に加え、難易度の高い技を絶えず取り入れ、観客を魅了し続けている。

 例えば、バーから手を離した瞬間に前方宙返りする。双方のブランコの間に視界を遮る障子紙をつるし、それを飛び手が突き破る。飛び手、受け手ともに目隠しする。11人の飛び手が間を置かず宙に舞い、難しい技を次々と決めていく。

 花形の演目だけに希望者も多いが、舞台に立つのは容易ではない。ジャンプ台の高さは3階建てビルに相当する約13メートル。落下の恐怖を克服できず出演を諦めた団員もいる。体操競技の経験者でもデビューするまで1年半はかかるという。

 さらに重要なのが「団員間の密な連携」と飛び手の富田ひとみさん(28)。正確なタイミングでブランコを離し、受け手も相手の癖などを見極めながら腕を伸ばす。息が合わないと、落下する危険があるだけでなく、キャッチできても、ブランコの勢いがそがれてジャンプ台まで戻れなくなる。目隠し飛行では周りの掛け声が“命綱”だ。富田さんは「信頼関係なしにはできない。皆が心を一つにするからこそ安心して飛べる」と話す。

 「個人技だけでなくチームワークで世界一のサーカスを目指す」と木下唯志社長は言う。裏方も含め団員一丸となってつくり上げる夢の舞台はもうすぐだ。

=おわり

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 「木下大サーカス岡山公演」(山陽新聞社主催)は26日~9月7日、岡山市北区北長瀬表町の岡山ドーム東隣特設会場で開かれる。前売り券は大人3千円(当日券3500円)、3歳~高校生2千円(同2500円)など。問い合わせは木下大サーカス岡山公演事務局(086―241―0045)。

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