地元局が当時のメディアスクラムを振り返る 知床沖観光船沈没事故「自分たちの取材は正しかったのか」 

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北海道知床沖の観光船沈没事故から2カ月。発生当初から過熱していた報道において、現場を取材した記者たちが「自分たちの取材は正しかったのか」を改めて考えた。

24日午後7時45分から始まったYouTubeのライブ配信「北海道ニュース24weekend」。

現地での取材を語ったのは、北海道テレビ放送のアナウンサーと記者4人。

ゲストとして上智大学メディア・ジャーナリズム研究所所長の音好宏教授がウェブで参加した。

テーマは知床で起きた観光船沈没事故で起きていた「メディアスクラム」について。

社会的な関心を集める事故や事件の取材活動において記者たちは「より早く・正確に」という基本に立っていても、過度な取材で関係者の人々を傷つける危険性をはらんでいる。

今回はこの事故の取材に携わったHTBの現場の記者たちが自分たちの取材を振り返り、「取材姿勢はどうあるべきか」「被害者家族に対して距離感はどうあるべきか」「実名や顔写真の報道についてどう考えるか」などを語った。

今回の議論について音教授は「今はまだ事故が進行中。2カ月経過してこういう形で知床の件を取り上げたのは中間報告だと思うが、逆に全国のメディアの取材が引いてきていることを示唆している。このあとも継続して斜里町はどう進んでいったのか、そこに住む人がどう思われたのか、観光船の在り方が検証されたがどのくらい良くなったのかを取材できるのは地元局である。ご家族の方、関連した企業で働いている方を最もよく取材できるのも地元局。どういうような形で継続的にやれるのか、地元メディア、HTBの報道セクションが議論してやることが大事」として地元局が継続して取材することが重要だと話した。

また、現地で過熱した取材については、「集中豪雨的に東京局含めて全国メディアをさばいた経験を踏まえ、次の時に何をすべきかを考えるきっかけにするのが大事」だと指摘した。

実際に被害者の家族を取材した渡辺里沙記者からは「なぜ家族のインタビューを撮らなくてはいけないのか、なぜ桂田社長のインタビューを撮らなくてはいけないのかという『なぜ』がわからないままインタビューに行くのは慎まなければならない。のめりこんで取材をしていると、その判断が冷静にできなくなることがある。そこは反省をしなくてはいけない。最初はインタビューに答えなくなかったが、気持ちが落ち着いてマスコミに現状を伝えて欲しいからと連絡をくれるようになった家族もいる。私たちも発生当初は、新しいことをどんどん伝えなきゃと前のめりになるが、家族の気持ちの整理がつくのをしっかり待つこともとても大事だと改めて思った」と語った。

北海道の地元局から知床事故のメディアスクラムを振り返るこの番組はYouTubeの「北海道ニュース24weekend」でアーカイブ視聴することができる。

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