きっかけはFX…違法薬物輸入も空港で見つかった元消防士 「社会内で更生可能」と猶予判決/さいたま地裁

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 営利目的でコカインや覚醒剤を輸入したとして、麻薬取締法違反、覚醒剤取締法違反などの罪に問われた、埼玉県春日部消防署の元消防士で会社員の男(21)=杉戸町高野台東2丁目=の裁判員裁判の判決公判が24日、さいたま地裁で開かれ、金子大作裁判長は懲役3年、罰金100万円、執行猶予5年(求刑・懲役6年、罰金100万円)の判決を言い渡した。

 判決理由で、金子裁判長は外国為替証拠金取引(FX)で生じた約260万円の損失を補填(ほてん)するため、密売して売却益を得る目的で違法薬物の密輸入を考えたことは「利欲的で身勝手」と指摘。同居の両親に相談するなど事態の打開の手段を選ばずに犯行に及んでおり、「短絡的で浅はか」と述べた。

 一方で、密輸入しようとした違法薬物は同種事案では微量にとどまる上に、犯行は組織的ではなく単発的だったと説明。父親や再就職先の上司らが監督を約束していて「社会内で更生することは十分に可能」と情状を酌量した。

 判決によると、男は氏名不詳者と共謀し、営利目的で昨年4月上旬、オランダからコカイン約10.16グラムと覚醒剤約25.96グラムを隠し入れた郵便物を自宅宛てに発送。輸入したものの、空港の検査場で職員に発見されて、目的を遂げなかった。

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