WEC富士参戦を断念。モンツァ戦の3日後に船に積むのは「リスクが高すぎる」とARCブラティスラバ

 WEC世界耐久選手権に年間エントリーしているARCブラティスラバは、物流の都合により9月の第5戦富士6時間レースを欠場すると明らかにした。

 スロバキア籍のチームは6月24日、富士戦への遠征は行わないものの、7月のモンツァ6時間レースと11月のバーレーン8時間レースには参加予定であるとの声明を発表している。

 ARCブラティスラバはLMP2のプロ/アマカテゴリーでオレカ07・ギブソンを走らせており、チームオーナーのミロ・コノプカが通年でエントリーし、各レースで異なるドライバーラインアップを採用している。

 コノプカは、モンツァ戦後のタイトなスケジュールを鑑み、WECがそのオフィシャルパートナーである物流会社DHLともに計画している日本への海上輸送に、マシンを載せることを見合わせると決断したと説明している。

「我々は小さなプライベートチームだ」とコノプカは述べている。

「我々は1台しかマシンを持っておらず、常に努力はしているが、残り2戦(富士とバーレーン)に向けたマシンの準備と貨物用のコンテナの梱包を、1日で行うことは不可能だ」

「マシンを組み直すことだけではなく、トラックからコンテナへとすべてを詰め替え、スペアパーツや資材を補充しなければならない」

「7月11日の夜にモンツァからファクトリーへと戻り、13日には日本行きの船に載せるために(ベルギーの)アントワープ港に行かなければならない。このような短期間の作業に対応するには、スタッフも機材も充分ではない」

「その1日(7月12日)で世界選手権のレースレベルにまでマシンを仕上げ、万全の態勢で臨むことはできない。2台、3台とマシンを持っているチームならできるのかもしれないが、我々にはこの期限を守ることは不可能だと考えている」

「モンツァが技術的に問題なく終わったとしても、安全の面でも、世界選手権のレースレベルへの期待という面でも、準備不足のままクルマを送り出すことは、リスクが高すぎる」

 ARCブラティスラバはコノプカとマティアス・ベッシェ、ティメン・バン・デル・ヘルムとともにセブリング1000マイルをクラス13位で終え、今季のWECフル参戦をスタートさせていた。

 ベッシェに代わってベント・ビスカールが参戦したスパ時間レースでは、コノプカが2時間目の序盤にクラッシュし、完走を逃していた。

 第3戦ル・マン24時間レースにはコノプカ、ビスカール、トリスタン・ボーティエのトリオで挑み、プロ/アマカテゴリーをリードする場面もあったが、最終的にはこのサブカテゴリーで6位、LMP2のオーバーオールでは21位と低迷していた。

 2022年のWEC後半戦への参戦をめぐっては、ハイパーカークラスにエントリーするグリッケンハウス・レーシングも、その先行きが不透明となっている。

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