フランス料理の名店「シェ松尾」の元オーナーシェフらが企画したレトルトカレー、そのぜいたく過ぎる中身 高級な「田村牛」をたっぷり使用【にっぽん食べ歩き】

「田村牛カレー」の盛り付け例

 フランス料理の名店として知られる「シェ松尾」(東京都渋谷区)の元オーナーシェフ松尾幸造さんらが企画したレトルトカレーの販売が始まった。1袋250グラムのうち高級牛肉が180グラムを占める食べ応えのある一品だ。(共同通信=中村彰)
 黒毛和牛に特化した焼き肉店「焼肉たまき家」(東京・霞が関)との共同企画。使われる牛肉はたまき家が多くの牛肉から厳選して店舗でも提供している「田村牛」。田村畜産(兵庫県新温泉町)が但馬牛の系統の出産していない雌牛から選び抜いて肥育している。

「田村牛カレー」のパッケージ

 飼料は全て自然由来。年間約1000頭を出荷し、毎年、全国レベルや神戸ビーフのコンクールで最優秀賞などを獲得している。
 「田村牛カレー」は総重量の約7割が牛肉なだけあって、大きな塊肉がごろごろ。主にバラが使われているが、スプーンの先で少し触れただけでほろほろとほぐれていく。
 玉ネギ、ニンジン、セロリ、ニンニクなど11種の野菜と果物を使用してコクを出す。リンゴとパイナップルが酸味を、カシューナッツと蜂蜜がほのかな甘みを醸し出し、赤ワインが味のまとまりを付けている。
 特に力を入れたのがブイヨン作り。グリルした鶏がらと野菜を8時間かけて煮込んでうまみを引き出す。

 たまき家はこのカレーのため東京・浜松町にキッチンを新設。4人の職人が全て手作業を行い、15時間がかりで完成させる。このため1日60食限定だ。
 18種のスパイスを使っているが、味は比較的あっさりしていて辛さも控えめ。強く主張しないが、だからこそ食べ始めると止まらなくなり、お替わりを頼みたくなるほど。

「田村牛カレー」開発の経緯を話す松尾幸造シェフ=東京・霞が関の「焼肉たまき家」

 松尾シェフは「このルーは漢方にも通じるし、スパイスは健康にも良い。国民食のカレーは易しいようで難しく、甘みやうまみを引き出すのに苦労したが、完成度の高いものができた」と開発の経緯を振り返る。「ご飯にはもちろん合うし、パンと一緒にシチュー感覚で食べてもおいしい」と話していた。
 公式オンラインストアとたまき家の店舗で購入できる。1箱2700円。

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