【レスリング】尾﨑野乃香、強者揃いの62kgで東京五輪女王を破り優勝!/2022年明治杯全日本選抜選手権

尾﨑野乃香(環1・帝京)は、今年4月に行われたアジア選手権で昨年の世界チャンピオンを破り優勝。その実力を改めて証明した。今大会は9月に行われる世界選手権の代表選考も兼ねており、昨年の天皇杯で優勝している尾﨑は今大会で優勝すれば代表内定が決まる。負けることのできない重要な大会に臨んだ尾崎は準決勝を1−2で突破。決勝では東京五輪金メダリストの川井友香子(サントリービバレッジソリューション)と対戦し、1−3で接戦を制し明治杯2連覇を達成した。

接戦を制し決勝進出を決めた

女子62kg級に出場したアジア王者・尾﨑は前回大会優勝のためシード権を獲得し、準決勝から登場した。準決勝の相手は至学館大・稲垣柚香。昨年全日本学生選手権で優勝した実力者だ。アクティビティタイムに得点をあげることができず先制を許した尾﨑。それでも相手のアクティビティタイム30秒間をしっかりと守り抜き1点を返す。両者ともに相手の堅い守りを前に得点できず、1−1で試合が進んでいたが、2度目の相手のアクティビティタイムにより尾﨑が1点を追加。1−2で勝利した尾﨑は決勝へと駒を進めた。

試合開始前、緊張感が漂う

決勝の相手は東京五輪金メダリストの川井友香子。オリンピックチャンピオン・川井とアジア王者・尾﨑は今回が初対戦であり、世界レベルの一戦に会場の注目が集まった。

試合は互いに攻撃の瞬間を探り合う緊迫した展開となる。試合が動いたのは開始から1分30秒、尾﨑がアクティビティタイムにより1点を先制されてしまう。後半3分には川井のアクティビティタイムにより尾﨑が1点を追加し、1−1となる。ラストポイントを取ったのは尾崎のため、尾崎が一歩リード。逆転したい川井が積極的にタックルを狙うも、尾﨑が必死のディフェンスで技を決めさせない。尾﨑は残り1分で再び川井のアクティビティタイムにより1点を追加し1−2。試合終了間際に川井はチャレンジを要求したが判定は変わらずさらに1点を追加。結果、1−3で勝利した尾﨑が優勝を果たした。

優勝が決まり、客席に拳を突き上げる

準決勝、決勝ともに接戦を制し見事優勝した尾﨑。今大会、戦ったのはわずか2試合だったものの、2試合ともなかなか得点を奪うことができなかったことが女子62kg級のレベルの高さを物語っている。それでも国内の熾烈な戦いを制し、世界選手権への切符を手にしたことは大きな自信となっただろう。9月に行われる世界選手権で優勝すれば、パリ五輪出場に向け大きな一歩となる。「62kg級は絶対に自分の階級だ」という強い意志を胸に、尾﨑は世界に挑む。

(取材・写真:船田萌恵)

※2022年世界選手権は9月10日〜18日にセルビア・ベオグラードで開催されます。

表彰式では嬉し涙を見せた

以下、試合後のインタビュー

——今の気持ちは?

川井選手と初めて対戦したんですけど、頑張ってきてよかったなと本当に思います。

——東京五輪金メダリストの川井選手との試合、どのような気持ちで臨みましたか?

この階級本当に強い人が多いので、世界もですけど日本もトップレベルなので、川井選手とは決勝戦で当たると分かっていてその過程でも強い人と当たると思っていたので、今回は初戦から決勝戦のことは考えずに一戦一戦という思いで臨みました。

——決勝で勝負を分けたポイント

やっぱりテクニカルポイント2点だと思います。大きなポイントを取りたかったんですけど、絶対に勝つためにはどうしようということを試合前から考えていて、もしタックルが取れなくても自分が攻める姿勢を見せて、最後は絶対に勝つという思いがありました。

——試合後に涙した理由

ここまで来るのに本当にたくさんの方々の協力であったり、家族や親戚、友達、色々な人が応援してくれて、自分がオリンピックに出場したいという思いを応援してくれる人がたくさんいることに今までも気付いていましたけど最近本当に感じるので、自分のためにレスリングをやっていますけど、少しでも応援してくれる方や支えてくれる方に勝って恩返ししたいとすごく思っていたので、優勝した時は本当に嬉しかったです。

——今後の試合への意気込み

今後、明治杯、天皇杯はオリンピック予選になってくるので、これで満足しては絶対にいけないと思っています。これから他の選手も自分の対策だったり、オリンピックに向けて階級を変えたりしてくると思うので、62kg級は絶対に自分の階級だと思って世界選手権では今度こそ絶対に優勝するのが目標ですし、天皇杯から明治杯と自分が62kg級を守ってオリンピックに出場したいと思っています。

© 慶應スポーツ新聞会