<レスリング>【2022年明治杯全日本選抜選手権・特集】アジア選手権銅メダルが起爆剤、激戦階級を制して世界へ挑戦…男子グレコローマン67kg級・遠藤功章(東和エンジニアリング)

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(文=布施鋼治/撮影=矢吹建夫)

 昨年の世界選手権・男子グレコローマン63㎏級3位の清水賢亮(自衛隊)が2024年パリ・オリンピックを見据え、今大会からオリンピック階級である67㎏級に挑んだ。戦前から激戦が予想され、巷では「決勝は遠藤VS清水か?」という声もあったが、清水にとって階級の壁は厚かった。準決勝で曽我部京太郎(日体大)に1-7と完敗を喫してしまった。

63kg級の強豪の参戦で激戦となったグレコローマン67kg級。全日本王者の遠藤功章(東和エンジニアリング)が勝ち抜いた=撮影・矢吹建夫

 もう一方のブロックから順当に勝ち上がっていた遠藤功章(東和エンジニアリング)は「曽我部VS清水になれば、曽我部が絶対に勝つ」とシビアに予想していた。その心は?

 「清水選手は階級を上げたばかりだった。(大学の後輩にあたる)京太郎が上がってくると思っていました。日体大の練習時から、京太郎は絶対に自分(遠藤)に勝つという執念を漂わせていたんですよ」

 遠藤と曽我部は昨年12月の全日本選手権決勝でも激突。このときは遠藤が6-1で勝利を収め、この階級でうれしい初優勝を遂げた。曽我部とは半年ぶりの再戦となったが、第1ピリオドは、パッシブによる1点のビハインド。曽我部がリードする展開だった。

 遠藤は後輩の成長を「前回闘ったときよりだいぶ力が強くなっていた」と素直に認める。「普段の練習で毎日のようにやっているのですが、試合で強い選手だと感じました」

文田健一郎との練習で学んだ防御法が役立った

 第2ピリオドも曽我部が先に仕掛ける展開になったが、場外際の四つの攻防で遠藤は曽我部のアタックに耐え、逆に大きくサイドに振るようにして投げ飛ばした。

パリに向けて激しい闘いが予想される階級。左から曽我部、遠藤、清水=撮影・矢吹建夫

 「文田健一郎先輩との練習で、四つになったときの耐え方というか、飛ばされないようにするにはどうしたらいいのかを学んでいた。ああいう展開になったら自信がありました」

 この投げによって遠藤は一気に4点を奪って逆転。さらにローリングを決め、2点を追加して試合の流れを決定づけた。遠藤は「京太郎は第1ピリオド、グラウンドで自分を返せなかったので、第2ピリオドになったら勝負に出るしかなかった」と分析する。

 「自分はグラウンドが得意。彼からしてみれば、『グラウンドでポイントをとられるのは嫌だ』という気持ちがあって焦ったんだと思います」

アジア大会中止は無念だが、世界で好成績を!

 この優勝で遠藤は9月にセルビアで開催される世界選手権出場の切符を掴んだ。今回勝ち切れた要因のひとつとして、4月のアジア選手権(モンゴル)で3位になったことを挙げた。

63kg級で出場した2018年世界選手権。初戦は世界王者(ステパン・マリャニャン=ロシア)に完敗だった

 「優勝するつもりで闘っていたけど、準決勝で韓国の選手に負けてしまった。8月のアジア大会の代表にもなっていたけど、この大会は延期になってしまった。原因はコロナなので、割り切るしかない。そういう流れで明治杯を迎えたことが良かった」

 世界選手権出場は2018年の63㎏級に続いて2回目。前回は優勝したロシアの選手に初戦で敗北。敗者復活戦ではトルコの選手に敗れた(結果は15位)。「このときの闘いで63㎏級のレベルはだいたい分かったけど、(オリンピック階級の)67㎏級はあんなもんじゃない。もっと選手層は厚いし、現時点で5人くらい上の選手がいる。その選手たちをひとりひとり超えていきたい」

 遠藤が得意とする戦法は、前に詰めながら自分からどんどん仕掛けていって、グラウンドでひとつ取るというパターン。アジア選手権の経験と母校・日体大での実り多き練習を糧に、東京オリンピックで結果を残した大学の先輩である文田や屋比久翔平に続けるか。