復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月26日「県知事選、屋良氏が好調なすべり出し」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 日本「復帰」直後の1972年6月26日の琉球新報1面トップは、「県知事選即日開票/屋良氏、好調なすべり出し/当選見通し強まる/投票率76.28%/島尻郡区でもリード」との見出しで、開票されている初の沖縄県知事選で革新の屋良朝苗氏が自民の大田政作氏を抑えて有利となっている状況だと伝えている。戦後はじめて行われた知事選は25日投票があり、全県内で26町村で即日開票があった。有権者58万2754人のうち、投票数は44万4547で投票率は76.28%となり「三大選挙に比較して大幅に落ち込んだ」という。
 記事では「26日は午前8時から残る市町村で開票が行われるが、即日開票の結果からみて、那覇、中部でなだれ現象が起きない限り、屋良朝苗氏が大きく水をあけて当選する可能性が強くなった」と見通しを示している。
 隣には島尻郡区の県議選結果を掲載し「大城氏(自民)が首位/自民、無投票含め8議席に」との見出しを掲げ、当選者を紹介している。まだ残る開票状況はについて、琉球新報とROK、OTVと合同でそれぞれ解説付きで紹介する社告も掲載している。
 ベトナム戦の状況については「北最大の製鉄所破壊/ハノイ、ハイフォンも爆撃」との見出しで、米軍発表として米軍戦略爆撃機がハノイなど北ベトナムの主要都市と周辺の産業施設を中心に爆撃して破壊したとの内容を伝えている。
 中央政界の動きでは自民党総裁選の動向で「田中氏有利で終盤戦へ/福田派内に危機感浸透」との見出しで、立候補届け出が25日に締め切られた自民党総裁選が福田赳夫氏、大平正芳氏、三木武夫氏、田中角栄氏の4氏の決戦となっていることを伝えている。その中で田中氏の作戦が奏功しそうだとの見通しを示している。
 
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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。  

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