「承知」「承諾」「了解」「了承」の違いって?【正しい日本語解説Vol.5】

社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らないビジネスシーンの頻出ワードを徹底解説! 今回は、口頭でもメールなどでも使う機会の多い「承知」「承諾」「了解」「了承」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。

「承知」の意味

「承知」は、目上の人の命令などを承ること。または相手の願いや要求を聞き入れる、事情などを知る、わかる、許すという意味。「目上の人の命令」という部分がポイントです。

「承」は、受ける、引き受けるといった意味の漢字で、「承る」といえば敬語の謙譲語に当たります。「知」は、知る、悟る、わかるといった意味の漢字です。

「承知する」は、「承」が入っていることで、元々目上の人が出した命令を聞くという謙譲語でした。今では敬語のニュアンスは薄れていますが、「了解する」よりも丁重な感じを与えます。目上の人に対して使う言葉なので、「承知する」のは基本的に目下の人と覚えておきましょう。

【例文】

資料作成の件、承知いたしました

「承諾」の意味

「承諾」は、相手の頼みを同意して引き受けること。または相手の依頼や要求を受け入れるという意味。「同意して」という部分がポイントです。

「承」は、受ける、承る、引き受けるといった意味の漢字。「諾」は、はいと答える、引き受けるといった意味の漢字です。

承諾は承知とは異なり、「諾」のニュアンスが強く、目上の人に限定して使うというニュアンスはありません。また、承諾は軽いお願いごとにはあまり使いません。

【例文】

先方の承諾を得たので、本件を進めてください

「了解」の意味

「了解」は、相手の依頼や要求を、内容や事情を理解したうえで受け入れること、認めること、承認すること。「承」は、受ける、承る、引き受けるといった意味の漢字です。

「了」は、悟る、終わる、明らかであるといった意味の漢字。「解」は、悟る、わかる、分ける、解くといった意味の漢字です。

「了解しました」は丁寧語ではありますが、謙譲語ではないため、取引先や目上の人に対しては使わない方がいいです。また、「了解いたしました」は謙譲語「いたす」がついているので本来は謙譲語として取引先や目上の人に使っても問題ないはずなのですが、「了解」という言葉を取引先や目上の人に使うのは失礼という考え方が浸透しているため、「承知しました」を使用するほうがよいでしょう。

【例文】

今週中に報告してくれるのですね。了解しました

「了承」の意味

「了承」は、事情をくんで、納得すること。了解よりも強く理解している・納得している状態です。

「了」は、悟る、終わる、明らかであるといった意味の漢字。「承」は、受ける、承る、引き受けるといった意味の漢字です。

「承諾」とほぼ同じ意味ですが、「了承」の場合は了承する側が立場が上で、「聞いてあげる」、「許可してあげる」というニュアンスがあります。

【例文】

数量を限定して販売しております。あらかじめご了承ください

「承知」「承諾」「了解」「了承」の簡単な覚え方

承知、承諾、了解、了承は、ざっくり言えばどれも「OKを言う」ということ。使い分け方が覚えられない!という人は、誰が言っているか、どのような経緯で言っているかを意識しましょう。

「OKです」という意味で返事をしたい場合は、「承知しました」か「了解いたしました」を使います。上司や取引先に失礼の無いようにしたいという人は、「承知しました」や「承知いたしました」を使いましょう。「了解しました」は同じ立場の人(たとえば同期の人)や、目下の人に使います。

監修:吉田裕子先生

国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。

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