徳島県三好市、秘境ともよばれる祖谷地方は、西日本でも最も高い山々に囲まれ、登山やキャンプに人気のエリア。この壮大な眺めに満ちた尾根道を歩き、静寂に包まれて山小屋に泊まる。このシリーズでは、公共バスでアクセスできる、1泊2日中級トレッキングコースについて紹介する。
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三嶺山~天狗塚縦走 パート1 1泊2日四国の山々を渡る
徳島県三好市名頃登山口から登る三嶺山 標高差1kmのハードな登り
名頃集落、登山口は標高915m、三嶺山頂は1894m。その標高差は1000mちかくにもなる。
登山口から頂上まで3~3.5時間ほどかかる。
登山道のはじめの部分はかなり急だが、登山道の位置を示すピンクのマークが所々の木々につけられており、このテープを目印に進むと迷うことはない。
約10~15分後、道は分かれているが、広い右方向へは行かず、左の狭い道をピンクのマーカーを目印に進む。
三嶺山の緑に包まれて
この登山のはじめの部分では急勾配が続くが、奥に入っていくほどに山は鳥のさえずりや虫の声で満ちてくる。
この時は週の半ばで、駐車場には登山客の車が数台あったが、バスで来たのは筆者だけだった。はじめの2時間で会ったのは二人の登山者だけ。山の静けさを独り占めしていた。
登山道は出発点から約40~50分で作業用林道を横断。ここは休憩に最適なスポットで、標識もあった。
ここからの道は、少し階段を上がり、また森の中に入るがこの部分はそれほど急ではない。歩いていくとその人の気配で驚いたのか、ほんの30m先を走っていく鹿が見えた。
45分ほど歩くと、ダケモミの丘。ダケモミの生い茂るエリアで休憩する。木々のある場所がネットで囲まれているが、これは鹿よけだ。鹿が樹皮を食べて木々を枯らしてしまうため、この中に入らない様にネットが張りめぐらされている。
広大な眺め 急登だが笹に覆われた美しい稜線が楽しめる
登山道はここから少し下がったが、すぐにまた急な上りとなった。登り続けて30分後、ようやく隣接する山々を見渡せる開けたスポットに着いた。
そしてさらに30分、急勾配が続き、足元は岩が多くなってきたが、ここで樹木限界になった。
もう、視界を遮る木々はなく、明日の最終の下山まで、この尾根からのパノラマの絶景が続く。
木々のあるエリアをでてから数分で、湧き水を示す看板もあった。水場まで約60mほど、そこで水を補充。
そこからは、垂直に近い上り、ロープも設置されている。
頂上への上り、最後の部分は、一歩一歩がとても険しい階段。ここから小さな池の正面にある分岐点まできつい上り約10分。
三嶺山頂はさらにここから左手へ10分上るが、初めに右へ、三嶺ヒュッテを見に行くことにした。
オプション 三嶺ヒュッテで泊り
パート1で紹介した様に、もし2番目のバスで名頃に到着した場合、この三嶺ヒュッテでの泊りをおすすめする。
池のある三嶺ヒュッテ周辺もとても美しく、周辺を歩くだけであらゆる方向の景色を眺めることができる。
ヒュッテは無人の山小屋で電気も水もないため、避難小屋宿泊と同様に、寝袋、食料、調理用品等全てが必要となる。三嶺登山口から登ってくる場合は、途中の水場で水をできるだけ補給してきた方が、後で戻らなくてもすむ。
トイレはヒュッテ自体の建物と別に設置されている。
ヒュッテは、床が2階になっており、40~50人の登山客が泊まることができる広いスペースがある。
予約は不要だが、先着順となり、外のテントのスペースは残念ながらわずかだ。
※他の場所でのキャンプは禁止されている。
三嶺山頂!徳島県から高知県に広がる四国山地の大パノラマを堪能
池の周りを少し歩き、数人の登山客とすれ違った。
そして、三嶺山の頂上へ向かう。数分後には、山頂、360度のパノラマの眺めの中にいた。
標高差1000mほどの急斜面を登って来た後にある1894mからの眺めでリフレッシュ。
ここから東側の稜線は次郎岌、剣山へと続いている。
西側へは、隣の西熊山へ続く尾根があり、そのさらに遠くには明日の目的地、特徴あるピラミッド型の天狗塚の山頂が見える。
パート3では、西熊山とお亀岩避難小屋を紹介する。
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>>三嶺山~天狗塚縦走 パート3 西熊山~お亀岩避難小屋
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三嶺山ルート&トレッキングマップ
(取材・文・写真: ショーン ラムジー)