クリス・ヘムズワースが刑務所で薬物実験!? Netflix『スパイダーヘッド』マイルズ・テラー共演

Netflix映画『スパイダーヘッド』全世界独占配信中

狂博士クリヘムがマイルズ・テラーをクスリで懐柔

『ソー:ラブ&サンダー』(2022年7月8日より公開)が待ち遠しいクリス・ヘムズワースと『トップガン マーヴェリック』(5月27日より公開中)でファンの二次創作をはかどらせているマイルズ・テラーが共演するNetflixオリジナル作品が『スパイダーヘッド』だ。

原作はジョージ・ソーンダーズの短編「スパイダーヘッドからの逃走」。監督は『~マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー、脚本家は『デッドプール』シリーズ(2016年~)や『ゾンビランド』シリーズ(2009年)のレット・リース&ポール・ワーニック。

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物語の舞台は絶海の孤島に建つ研究施設<スパイダーヘッド>。そこでは囚人たちを対象に減刑と引き換えにした新薬の投与実験が行われているが看守は市民プールの監視員レベルで、通常の刑務所と比べたら待遇は悪くない様子。そんな施設の責任者であるスティーヴ(クリヘム)は囚人たちの背中に投薬デバイスを埋め込み、毎回本人の承諾を得た上で数種類の精神薬の治験を行っているようだ。

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ジェフ (マイルズ・テラー) とリジー (ジャーニー・スモレット:『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』[2020年]ほか) は他の被験者と同じく、多幸感を与える薬や語彙を拡げる薬、性的に興奮する薬などを投与されていた。しかし、いつしか被験者の承諾をないがしろにするようになったスティーブが実験中にヤバい事故を起こし、ジェフはその目的に疑問を抱き始め……。

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マイルズ・テラーの実体験を拝借したかのような設定

いわゆるプレ・ディストピア的な本作には、まるで真空パックの薬剤や食料品のようなトーンが全編に充満していて、料理や飲み物がちょいちょい出てくるものの全く美味しそうに見えない(それは狙い通りなのかも?)。そこにスーパートランプやロキシー・ミュージック、ホール&オーツなど70~80年代のヒット曲が散りばめられ、ノリノリで踊るマッドサイエンティスト(にしては体格がスーパーヒーロー)、閉鎖的な状況でのピリついた人間関係などなど、序盤から既視感を刺激される。

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その辺の人たちよりちょっとだけ何かが優れているっぽい(&普通よりちょっとアツい)人を演じさせたら抜群のマイルズ・テラーは相変わらず良いし、スモレットはモブ視させない存在感を発揮、クリヘムも衣装はダサいがおツユを飛び散らせる本気演技で高好感大。新人のマーク・パギオもキャリアと良心の狭間で揺れる助手を好演していて、彼が物語を大きく回すシーンはハイライトのひとつと言えるだろう。

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ちなみにマイルズ演じるジェフの罪は自動車事故による過失致死なのだが、実際に彼は2007年に大きな交通事故を起こしていて、頬の傷はその時のもの。マイルズは2016年にも交通事故で軽症を負っているので、ファンは本作の設定に彼の不運な過去を思い出してしまうかもしれない。ただ、そういった身近な問題を登場人物たちが抱える孤独や後悔に落とし込めていれば、もっと重みが出せたのでは? とも思う。既存の刑務所システムに対するアンチテーゼというわけでもないようだし、つくづく捉えどころのない設定だ。

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これはスリラーかコメディか? 捉えどころのなさは一級

また本作は、各キャラクターの描き込みが少ないため感情移入に至らず、傍観者になってしまうところがちょっと苦しい。これが『ブラック・ミラー』シリーズ(2011年~)のように短編だったらキレが維持されたかもしれないが、なんだか謎の施設の気まずい内幕を見せられているような気分になるというか(それ自体が原作のせいでもあるのだろうけれど)、もう少しくらいベタにびっくりさせてくれてもバチは当たらないのでは……と手に顎を乗せてしまう。

観る者を没入させるにはダークさが足りないのかも? と思ってみても、暗いテーマでしんどさを突き詰めたらそれだけ上手く回収するのに難儀するし、昨今の“お洒落だけどしんどい系”のインフレ状況を考えれば、むしろそこは評価ポイントだろう。そもそもメリハリが足りないことが問題なので、妙にキャラ立ちした登場人物たちが本領を発揮するラストのベタなギャグ展開でニヤリとしてしまい、結局スリラーなのかコメディなのかすら曖昧になるのだった。

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原作の短編に色付けして長編映画にするのなら、いっそのこともっとブッ飛んだびっくり展開を用意してドタバタした挙げ句にワケのわからないまま終わってくれても良かったような気もする。とはいえテーマ自体は悪くないし、手に汗を握らされるキャスト陣の熱演、不気味にミニマルな美術セット、メンタルの攻防からフィジカルな脱出劇に至るスリリングなクライマックスなどなど好ポイントが多々あるのも事実。1時間半でサクッと観られるので、あまり構えず気軽に観れば意外な面白がりポイントが転がっている、かもしれない興味深い一本だ。

『スパイダーヘッド』はNetflixで独占配信中

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