社会が変わらないと、校則は変わらない/北九州市立大学准教授 アン・クレシーニさん

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

理不尽な校則増える?

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

梁:同じく、西日本新聞社の梁京燮です。

甲木:先週のアンちゃん、面白かったですね。

梁:そうですね。斬ってくれましたね。

甲木:斬ってくれましたね。あのように、日本の悪いところを忠告してくれる存在ってありがたいですね。それはアンちゃんの日本への愛情の裏返しだと思います。はい。ということで、先週に引き続き日本が好きすぎるアメリカ人言語学者、北九州市立大学准教授のアンクレシーにさんをゲストにお招きし、お話を伺います。アンちゃんよろしくお願いします。

アン:よろしくお願いします。

梁:よろしくお願いします。

甲木:先週盛り上がった校則のことだけど、アンちゃんを取材した記事、西日本新聞の一面に載りましたね。

アン:はい。ビックリしました。

甲木:教育とか文化の面かと思っていたら、一面でしたね!西日本新聞北九州本社の白波記者が書いた、「『変な校則』大人こそ声を」「米国人アンさん、SNSで発信続け」「娘の茶髪に地毛証明!?」…。

アン:この地毛証明ってなんだろうね?

甲木:すごいですよね。

アン:私の娘は外国人なんですけど、日本人でもなんで地毛証明しなきゃいけないの?って思います。髪に癖があるとか、赤っぽいとかで地毛証明を美容院でもらわなきゃいけないとなると、自分のアイデンティティが拒否されている感じになりますね。「これは私の生まれつきの髪なのに、どこがいけないんですか?」と言いたいと思うんです。

梁:そうですよね。

アン:日本の先生たちは非常に忙しいから、「なんでわざわざこういういらない仕事をつくっているの?」と思います。ある程度の校則は必要で、制服も悪くないと思いますが、理不尽で誰も説明できないような校則は最近特に増えてきていますよね。

梁:増えてきているんですか?

アン:いろんな話を聞くと、厳しく、細かくなってきている。何センチとか、何色とか、昔にはなかったような基準があるようで、とくに福岡県は厳しいらしいですね。でも問題は、社会が髪に厳しいから、社会が変わらないと校則も変わらないと。

社会が言う、〇〇らしさ

甲木:社会が髪の毛に厳しい?

アン:だって、小室圭さんのロン毛で大騒ぎになったじゃないですか。あれを見たら、絶対校則は変わらないと思いましたね。

甲木・梁:あ~。などほど。

アン:社会が言う、中学生らしいとか、社会人らしいとか、准教授らしいとか、サラリーマンらしいとか、いや、それが変わらない限り、やっぱ校則も変わらないなと思います。

甲木:ちなみに、アメリカはどうなんですか?

アン:私はアメリカからずっと離れているからよくわからないけど、ほとんどの子どもが公立の学校に行きますが、公立ではほとんど校則がありません。小学校の時からピアスとかマニュキュアとかヘアカラーとかもう何でもOK。私立だったらまあもうちょっと厳しいところもたまにあるんですけど。日本でニュースになったりすることと違い、アメリカでは校則の問題の存在感が薄いです。PTAも話にならない。強制ではないしですね。髪の毛を染めることも、勉強とどう関係があるんですか?みんな個性があって当たり前やん、という感覚です。日本はみんな一緒じゃないとダメという決まりがあるからこうなるんじゃないかな。もともとは何らかの理由があった時期も多分あったのかもしれませんが、PTAと同じように社会と一緒に変わらなきゃいけないと思います。

自分に関係ないと思えることにも関心を

甲木:もうひとつ今日、アンちゃんに聞きたかったのはコロナに関することです。水際対策として入国制限というものがありましたよね。で、アンちゃんのように永住権を持っている外国人でも一時は再入国ができなかった時期があったとか?

アン:そうなんです。外国人の滞在資格がいろいろある中で、永住権はビザが必要なく、選挙権がないこと以外は日本人と同じだと私はずっと思ってきましたが、コロナになって、昨年の4月から9月の間に永住者の再入国もダメになりました。

甲木:デルタ株が蔓延した頃ですね?

アン:はい。今は文科省の留学生はちょくちょく入れるようになったけど、私費の留学生はまだ入ることが出来ません。このような事についてはいろんな意見があります。感染対策も考えないといけないし。やっぱり現状を知ることがすごく大事なんです。この件も外国人の方が周りにいないと、多分誰も考えないと思います。昨年、私の父が亡くなったんですけど、まだ米国に葬儀に行ってないんです。行った場合の再入国については「多分大丈夫よ」と言われますが、その「多分」が怖いですね。

甲木・梁:うん、そうですね。

アン:自分のことだけでなく、もうちょっと周りのことを考えるべきなんだけど、人間って基本は、自分と関係がないことに関心がないですからね。PTAや校則も、自分や自分の子供が関わらない限りあまり考えないとか、人間誰でもそんな傾向があると思いますが、でもやっぱり、グローバル人間になるために、自分と関係ないニュースなどにも興味を持ってほしいです。そのために、西日本新聞を読んでください!

甲木・梁:ありがとうございます!

アン:西日本新聞って一番情報がいいところなんです。是非是非、「西日本新聞しか勝たん。」若者用語で言うと。

甲木・梁:(笑)ありがとうございます。

アン:(笑)言わざるを得ない…。

甲木:先週、今週と二週に渡り、日本が好きすぎるアメリカ人言語学者アン・クレシーニさんにお話を伺いました。アンちゃん、ありがとうございました。

アン:ありがとうございました。楽しかったです。ぜひ西日本新聞読んでください(笑)

〇ゲスト:アン・クレシーニさん(北九州市立大学准教授)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)

(西日本新聞北九州本社)

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