「LOVE LOVE あいしてる」5年ぶり復活。吉田拓郎、最後のテレビ出演でKinKi Kidsとの合作曲を披露

フジテレビ系では、KinKi Kids(堂本光一、堂本剛)がCDデビュー25年目を迎える7月21日に、「LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP」(午後8:00)の放送が決定。KinKi Kidsと吉田拓郎のタッグによる人気音楽バラエティーが5年ぶりに復活する。そして、吉田にとって同番組が最後のテレビ出演となり、番組も最終回を迎える。吉田の“卒業式”には、篠原ともえや坂崎幸之助(THE ALFEE)ら番組レギュラー陣に加えて、吉田が「最後のテレビ出演に会いたい」とオファーした超豪華ゲストも集結。さらに、今回のためにKinKi Kidsと吉田の3人が初の合作に挑んだ楽曲「Sayonara あいしてる」を披露する。

「LOVE LOVE あいしてる」は、1996年10月~2001年3月まで、毎週土曜11:30からレギュラー番組として放送。番組開始当初から、CDデビュー前で10代だったKinKi Kidsと、カリスマ的人気を誇るシンガー・ソングライターである吉田の組み合わせが大きな話題となった。ゲストとの軽妙なトークや、番組オリジナルバンド・LOVE LOVE ALL STARSの生演奏にこだわったパフォーマンスが好評を得て、吉田が作曲を担当した番組テーマソング「全部だきしめて」を、KinKi KidsがカバーしたCDシングル「全部だきしめて/青の時代」(98年)はミリオンセラーを記録。番組は、ゴールデン・プライム帯での不定期特番や年末年始の大型特番としてオンエアされ、同局を代表する番組となった。

レギュラー番組終了後も、KinKi Kidsと吉田の交流は続き、最近では52年のアーティスト活動にピリオドを打つ吉田の集大成ともいえるラストアルバム「ah-面白かった」(6月29日発売)の題字を光一が執筆し、剛が編曲とギター演奏で参加するなど、共演者を超えた深い関係を築いている。

今回の特番が実現したきっかけは、光一が吉田へ宛てたメッセージ。今年の年始あいさつをメールでやりとりしていると、「今年こそ『LOVE LOVE あいしてる』が実現することを心から願っています」と光一から返信が来たという。吉田はすぐに剛、篠原らとも話をして、番組プロデューサーに「みんなやる気満々。打ち合わせしませんか?」と連絡。かくして5年ぶりの復活。吉田がかねて決意していた最後のテレビ出演に向けて動きだした。

光一は「拓郎さんの一声で始まりました。『LOVE LOVE~』レギュラー放送の頃から拓郎さんの一声でみんなが集中して一つの方向に動き始めるということが多かった気がします。昔はそういう感覚で物事が進むことは少なくなかったと思うんですけど、今の時代においてはなかなかないこと。今回実現できたのは、拓郎さんのリーダーシップのおかげですし、昔もそうやってやったなっていう感覚を思い出してうれしかったです」と喜ぶ。

剛も「番組が終わってからも、“『LOVE LOVE~』見てました”といろいろな方に言っていただける人生なので、『LOVE LOVE~』という番組が自分だけじゃなくて、いろいろな人たちの記憶に残ってるんだと、影響があった番組なんだなと実感することが多かったんです。なので、すごくうれしいとともに“ラストか”という気持ちももちろんあります。でもリハーサルをやって、“こういう雰囲気だったよな”とみんなでお話をして。番組が終わってから、長い時間がたったはずなのに、“先月もやっていた”みたいな雰囲気が、めちゃくちゃ不思議で。そういう関係性を、画面を通してあらためて、皆さんにお届けできることがすごく幸せです」と率直な心境を明かす。

吉田は「僕は年齢的にも2人より全然上で、いろいろなことをリタイアしたいなと考えていまして。そういう意味で言うと、テレビとのお付き合いも『LOVE LOVE~』で最後にしたいな、という決心が随分前からありました。光一と剛と最後に一緒にやって、一緒の時間を過ごして、それを最後のテレビ出演とするのはどうかなと、かねて思っていました。それで、プロデューサーと話して、特番などでやれるといいんだけどねと話をさせてもらって。僕はとてもすてきな有終の美を飾れそうで、とても幸せ。光一、剛、篠原さん、皆さんに感謝しています」と告白。

光一は、吉田の最後のテレビ出演について「今回の特番が終わった後に、拓郎さんに『最後を飾るのに本当にふさわしかったよ』と言っていただけることも素晴らしいことだし、『いや、楽しいからもうちょっとやろうかな』と言っていただけるのもうれしいことです。拓郎さんがおっしゃったように、ずっと奇跡の中でやってきたので、終わりという言葉というよりも、これからまたどんな奇跡が起きるんだろうという思いでやれば、また奇跡が起きるかもしれない。フワッとしてるかもしれないんですけど、そんな感覚です」と語る。

剛は「僕も同じような気持ちですし、1人の人間の人生というのは、それぞれあるわけで。その中で出会いも別れもありますし、思うこともそれぞれ違うし、でもお互いを尊重し合いながら生きていくのが“仲間”だと思うし、愛する人のためにできることだと思うんです。リハーサルをして楽しかったし、収録の日も、どんな日も二度とないので、当たり前の中にある喜びをかみ締めながら当日は過ごしたいです。そこで生まれたコミュニケーションが、また何かにつながるかもしれない。コロナ禍で、自分自身が部屋でずっと過ごしていたら、拓郎さんから『アレンジをお願いしたい』と電話をいただいて。全く予想していなかったです。この大変な時代を、何とか自分なりに耐えている中で、そういうご連絡をいただいた時から今日までがどんどんつながってるんです。だから収録の日も何かが生まれるかもしれないし、生まれないかもしれないけど、でも拓郎さんの言葉にもあったように、分かってもらえないような不思議な関係性の人たちが集う日だし、何かが、始まるんだろうなとは僕は思っています。光一の言うように、何かが起こるようにわざと導こうとも思ってないし、自分たちらしく楽しく過ごせたら、まずはそれが幸せなんでそんな日になればいいなと思います」と話す。

初の合作曲「Sayonara あいしてる」の制作過程に関しては、「3人で一緒に作った曲を番組で演奏してみたいね、と以前、話をしていました。2人がその場で“ぜひ”と言ってくれたので、俺が詩を書くよ、と。それで、詩を光一と剛に送ったんです」と吉田が自身からスタートしたことを明かし、「次の日に来たんですよ」(剛)、「思いつきが過ぎるんです、拓郎さん(笑)」(光一)とのことで、剛は「次の日に来ちゃったから、そのスピード感で返したいと思って。僕はたまたま家で作業だったので、やっていた作業をいったん止めました。拓郎さんのスピードに対して、反応した自分のものを作りたいと思って、すぐに作ったんです。光一もサビの部分を思い浮かべていたから、混ぜてみよう、と」、光一も「お互いに拓郎さんの詩を見て、剛もスピード感を持ってやっていたし、僕は舞台中だったんですが、サビに関してはメロディーが浮かんでいて。でも、それぞれ思いついたことを形にしていたので、作ってる曲のキーが違ってたので時間がかかってしまって…」と3人の関係性ならではの、スピード感で出来上がったそう。

また、「すり合わせる作業をしていましたが、最終的には“拓郎さんに丸投げするか!何とかしてくれるだろう!”という感じでした(笑)」と光一が言うと、吉田が「いや~早かった! 俺が送ったら、すぐ2人からも“できました”と返事がきて。随分安易に作るなと思ったよ(笑)。前もって作ってあったんじゃないの?(笑)。舞台中なのに、光一も早かったね」とツッコミが。それには、「帝国劇場の楽屋に拓郎さんの詩をずっと置いていました」と光一が応じた。

そんなやりとりを見ながら、剛は「だから幻のサビがあることにもなるんで、これはいつか歌ってもいいかなとも思っています。拓郎さんは思い付く人だから、僕も同じ鮮度で返したいと思って。そこで躊躇(ちゅうちょ)したりいろいろやったりするよりかは、拓郎さんの詩にお互いに反応したものを見せ合って、それで一つの曲を作る。それが正解の作り方だと思う。今回は、サビを光一のサビにしようと決めて混ぜました。だから、ゼロから一緒に考えて作っていたら生まれなかったかもしれないメロディー。そんな制作過程が、この曲ならではの温度感につながったかなと思っています。でも、本当に大変でした(笑)」とかなり大変なこともあった様子。

吉田は「“詩を読みました。感動しました。メロディーが浮かんできました”と光一からメールがきて。“これから剛と2人で構築していきます”とメールがきたんですよ。そしたら何日か後に、“僕と剛は構築するために何かしたことがないんです”なんて言ってきて(笑)。剛からAというメロディーがきて、光一からはBというメロディーが届いて、俺にこれをくっつけてくれと。いかにもKinKi Kids。委ねられたというか、勝手すぎる!(笑)」とKinKi Kidsらしい制作方法に驚きつつも、うれしそうに笑う。

多忙な時期だったことで、「光一は舞台をやっていたから、なかなか時間が取れなくて…」(剛)、「な何しろ会う時間がなかったんです。剛はさっき言ったようにすごく早くて。勢いを殺したくないという思いはもちろん分かるし、でも僕は僕の中で思い浮かんでいるものもあって…」(光一)と申し訳なさそうにすると、「お前たちは連携を取るのが嫌なのか(笑)」と吉田。続けて、「俺は2人がどこかの喫茶店で話し合いながら頭を突き合わせて“剛、そこはこうじゃないの?”“光一、それはおかしいよ”なんて言いながら作っているのかと思ってたよ!」とイメージしていたのとは少々違ったようだが、これには光一が「そんな2人じゃないことは分かっているじゃないですか(笑)」と切り返し、剛も「大変でしたが、拓郎さんの詩がとてもすてきなので、とてもいい曲ができました。久しぶりにこのメンバーで過ごして、めちゃくちゃ楽しいです。『LOVE LOVE~』をもう一度やりたいなと思うくらい。この空気感を皆さんに伝えるべく、本番はナチュラルに過ごそうかなと思っています」と手応えを伝えた。

そして、あらためて、「冒頭に言ったように“番組をやろう!”という拓郎さんの一言から始まって、“お前ら、曲作れ”と言われて。“どうしよう!”と思いながらも、みんなで一つに向かっていくエネルギーが生まれるんです。そのきっかけをくれる方で、それは昔からずっと変わらない」と光一。剛「言い方を変えると“ちょっと、YOUやっちゃいなよ”です(笑)」と、光一が「本当にそう! 今の時代、守りに入らず、そういうエネルギーを持っている人はなかなか出会えないと思います。おのずと道ができていく、そこに全員が向かっていってしまう、それが拓郎さんの持つエネルギー。昔も今もそうやって変わらないのがすてきだし、そこにいられることが幸せだと感じながら準備しています」と力を込める。

吉田は、この番組の歴史を振り返り、「2人ともよく話すのですが、この番組の始まりは偶然だった。海の物とも山の物ともお互いに何も面識もなく、年齢差もすごくあった僕らが集められて、僕らが意識して集まったわけではなく集められたわけですから。その偶然からいろんな奇跡が起き始めて、その奇跡をみんなで、僕ら3人だけでなくスタッフも含めて作り上げてきた。番組が終わって毎週スタジオに行くことがなくなった寂しさを考え、感じながら、“あの数年間は奇跡的だったな”と思うようになりました」としつつ、「5年前の特番の時は、終わってから16年もたってから集まったのに、ずっと続けてやっていたような感覚に陥って。不思議なこと起こってるなって。偶然から始まった奇跡が続いていて、今もその中に僕らが置かれている。残念ながら、この感覚はどなたにも分かっていただけないかもしれない。でも、光一も剛も、篠原さんも、僕もずっと“何だろう、これ”という感覚を抱きながら、今ここにいるんじゃないかな。僕はこの感覚を感じられることがすごく幸せです」と愛情たっぷりに思いを口にした。

© 株式会社東京ニュース通信社