「サバ缶宇宙に飛ばせるんちゃう?」 若狭高校生の一言から野口聡一さんが食べるまで…14年間の“本気”児童書に 小学館から発売

児童書「宇宙食になったサバ缶」を披露する(右から)小坂康之教諭、別司芳子さん、田中明子さん=6月23日、福井県庁

 2020年に国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の野口聡一さんが食べて話題となった、福井県立若狭高校の「宇宙食サバ缶」の物語が児童書となり、6月30日に小学館から発売される。著者や編集者の福井県人3人の手で出版にこぎ着け、同校の14年間にわたる奮闘から「夢に挑み続ける素晴らしさ」を176ページに込めている。

 今回の児童書は、「(宇宙食サバ缶が)どうしても書きたいテーマだった」という敦賀市の児童文学作家、別司芳子さん(62)が20年10月、小学館の編集者、田中明子さん(47)=越前市出身=に企画書を送ったことがきっかけ。田中さんはこれまでに、福井の恐竜をテーマにした絵本や児童書を手がけている。

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 別司さんは、開発に携わった歴代の若狭高の生徒や生徒を支え続けた小坂康之教諭(45)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員ら約30人を1年間かけて取材。あらゆる種類のサバ缶と食べ比べ、「若狭高産」のおいしさや工夫に理解を深めた。

 小坂教諭が共著者となり、「サバ缶を宇宙に飛ばせるんちゃう?」という1人の生徒のつぶやきから、他の生徒らが本気になって開発をスタートさせ、宇宙で野口さんがサバ缶を味わうまでの曲折を描く。宇宙食にまつわるコラム5本を収録。サバ缶を含む宇宙日本食のメニュー一覧を写真入りで載せ、「宇宙食が丸ごと分かる」(田中さん)内容に仕上がった。

 A5判巻頭カラー、税込み1650円。県内の主な書店で販売する。23日に別司さん、田中さん、小坂教諭の3人が県庁を訪れ、豊北欽一県教育長らに出版を報告した。小坂教諭は「失敗から学ぶ探究活動の面白さを感じてほしい」と話した。

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