「めがねのコクラヤ」創業者 高浪藤夫さん死去 88歳

高浪藤夫さん

 長崎市の「めがねのコクラヤ」創業者で、市内の市民ギャラリーの草分けとなる「コクラヤギャラリー」を創設した元相談役高浪藤夫(たかなみ・ふじお)さんが昨年12月24日、病のため同市内の病院で死去したことが関係者への取材で分かった。88歳だった。葬儀などは近親者で行った。故人の意向により家族は死去を公表していない。
 フィリピン生まれ。戦中戦後の幼少期を福岡県で過ごし、地方紙記者などを経て同県の眼鏡店に勤務。映画で目にした長崎市の風景に憧れ1956年に移住。58年、福岡県に本社を置く「めがねのコクラヤ」の支店を長崎市に開業した。トレードマークの「コクラくん」は高浪さんがモデル。
 60年ごろから店内にギャラリーを併設し、地元芸術家の作品発表の場として開放。75年に開業した万屋店に専用スペースを設けて以来、現在まで市内の代表的な市民ギャラリーとして親しまれている。87年、第3回県地域文化章を受章。
 経営の一線を引退後の90年、自ら収集した当時の新聞記事や印刷物、雑貨などを通して、戦時中の子どもたちの日常を伝える「少国民資料館」を自宅に開設。訪れる人に反戦平和を訴えていた(現在は閉館)。
 家族側は長崎新聞の取材に「故人の意向を尊重したい。そっとしておいてほしい」としている。


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