高額になりがちな大物家電。「買う」か「サブスク」か、どっちがお得? ファイナンシャルプランナーの徹底比較

ここ数年で定着しつつある「サブスクリプションサービス(サブスク)」ですが、音楽や動画の配信などのオンラインサービスを利用している人も多いことでしょう。実際にはオンラインコンテンツ以外にも、洋服や食事、化粧品など多くのサブスクサービスが登場しています。

サブスクというと気になるのは、そのコストです。買い切りと比べるとどうなのか。今回はその中でも、初期費用が高額になりがちな、大物家電のサブスクの利用に着目し、
サブスクはお得なのかを考えてみたいと思います。


FPから見たコスト比較ポイントはココ!

大物家電は高額ですから初期費用がかさみます。初期費用以外でも、特定家電と呼ばれる4品目については処分時にリサイクル料金を支払うことが定められています。具体的には、テレビ(ブラウン管・液晶・プラズマ)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機でいずれも家庭用機器が対象となります(経済産業省「家電4品目の「正しい処分」早わかり!)。

例えば、我が家は今年のお正月にテレビを買い替えましたが、リサイクル料金2970円とリサイクル収集運搬料金1650円で合計4620円の処分費用がかかりました。リサイクル料金はメーカーごとに異なりますが、家電製品協会のホームページ(一般財団法人 家電製品協会)で調べることができます。また、収集運搬料金も販売店ごとで料金設定が異なります。なお、自治体の指定取引場所へ自身で運搬すれば費用を抑えられます。

リユースできるレベルであれば、リサイクルショップやネットオークションなどで売却できるケースもあるので処分費用はかかりません。このように、大物家電を所有する場合は、購入時の初期費用から処分費用まで確認した上で、サブスクとの比較検討をしておきたいところです。

いっぽう、サブスクでテレビを利用するケースを見てみましょう。大物家電を月額利用できる「PLUSY」を参照すると、月額1595円〜と掲載があります。取り扱うメーカーは3社と限定されていますが、43インチの4Kテレビで国産メーカーであれば10万円前後しますから1000円台で手に入れられるメリットは大きいでしょう。ただし、契約期間ごとに月額料金が異なるため注意が必要です。月額1595円は5年契約の場合です。「4年契約1990円〜1年契約7980円」と契約期間が長くなるほど安くなる料金体系です。

ただ、月額料金にはメーカー保証と動産総合保険が付帯されているので、小さなお子さんがいる家庭でも安心して利用できるでしょう。なお、初期費用として配送料がかかり、テレビのサイズと配送先(全国対応)によって料金は異なります。例えば、43インチなら5900円〜1万1300円になります。

徹底比較!買い切りとサブスクでのコストはどちらがお得?

では、実際に買い切りとサブスクでのコストを比較してみましょう。今回は「PLUSY」に掲載の4Kテレビと同型の新品を家電量販店で購入した場合の比較例を元に算出しました。

上表から、テレビを購入した場合とサブスクの契約期間(1年〜5年)に応じて課金される合計額はほぼ同じであることが分かります。ただし、サブスクの契約満了後のコストについても確認しておく必要があります。

サブスク契約満了後の選択肢とコストを確認

サブスクの契約満了後は、以下の4択になり、選択によりかかるコストも変わります。

・契約満了
商品を返却し、テレビの回収を依頼します。その際、回収費用は発生しません。

・レンタル延長
契約満了前の月額料金から割引の上、期間延長(1年ごとに自動延長)が可能です。前述のテレビであれば、月額1300円で最大契約期間10年までの契約が可能です。具体的には、1年延長で年間1万5600円の費用がかかることになります。

・新商品への乗り換え
新たなテレビの利用申し込みを行うことで実質上、商品の交換をすることになります。その際は新商品の月額料金に初期費用として配送料がかかります。なお、旧テレビの回収費用は発生しません。

・商品の買い取り
契約期間に応じて買い取り料金が決められています。前述のテレビを5年契約満了後に買い取る場合は、(最大契約期間(10年=120月)−トータル契約月数(5年=60月))×350円で算出を行い、2万1000円になります。

以上から、5年を超えてサブスク利用する場合は選択肢に応じたコストが発生します。「買い切り」に軍配が上がることは明白です。

コスト以外で押さえておきたいポイントも

サブスクのサービスは各社異なるため、利用を検討する時にはコスト以外のチェックも必要です。主なポイントは以下の通りです。

・自分に合う商品があるのか?
・料金に含まれる内容は?
・配送エリアは?
・最低利用期間や途中解約、返品などの条件は?
・新品か中古か?

例えば、テレビの機能はさまざまです。筆者がテレビを買い替える時に優先したのは、録画番組の再生に倍速機能があることでした。サブスクで探したところ該当機種の取り扱いは無いため、このように特定の機種を取り扱っていない時は買い切りを選択するしかありません。

なお、冷蔵庫や洗濯機など引っ越しの際の移動に手間がかかる大型家電の場合はサブスク利用も検討したいところです。筆者の息子は一人暮らしをしていますが、洗濯機や冷蔵庫、ベッドがあったため引っ越しを業者に依頼せざるを得ませんでした。

引っ越しシーズンに重なり、引っ越し料金が跳ね上がるだけでなく、業者の手配にも苦労しました。このように一人暮らしや単身赴任など一定の期間で転居が想定される場合、サブスク利用はメリットがある選択と感じています。コストや手間、生活様式を考えた上で、買い切りかサブスクかを検討していきましょう。

© 株式会社マネーフォワード