第36回「文庫化に寄せて──『私は、元気です』」

つい先日のこと、レズっ娘グループの代表、御坊さんから連絡がありました。はやく伝えたいという気持ちが伝わってきました。 その数日前から本業がとても忙しく、頭の中で考えることがたくさんありすぎて、てんやわんやでした。そんな日々に、やさしい一報が飛び込んできました。 永田カビさん、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』文庫化おめでとうございます。 あれからもう7年になりますね。 発売を心待ちにしていました。そして、先日さっそく文庫版描き下ろしを、読ませていただきました。掃除が終わったらすぐに見るんだ~と思って、本を目につくところに置いておいたので、掃除も捗りましたよ〜。 やさしい一報とは、文庫版描き下ろしとして、私への「手紙」があるということです。 とにかくはやく逢いたい、そんな気持ちで描き下ろしを先に読ませていただきました。手で触れてページを開くまでは、ラブレターを開けるような? そんな、ちょっと照れくさい気持ちになっていました。 すぐにあなたからのメッセージが、あなたの画と共に飛び込んできました。そこに描かれているのは、あなたの記憶にある私。そして、現在のあなた。いつも逢える仲ではないけれど不思議とつながっている気がして、いままでよりももっと鮮明にあのときをふり返ることができました。 そのあとで、最初からゆっくり読み返しました。 あのときの私は、こんなことしたりあんなこと言ったりしてたんだなと思い出して、自分で自分を観察している気分になりました。ああ、いまならこんなふうにするかも、こんな言葉をかけるかも……と、いろんなこと想像をしながら。 描き下ろしのページは、この本を手にした方なら誰でも読むことができます。なのに、なぜだかふたりだけの空間を感じたんです。 それはきっと、あの場所で起こったことが、ふたりにとってとても意味のあることだったからじゃないかなあと思います。 私たちひとりひとりが、この肉体で、毎日違う時間や日々を過ごしています。膨大な数のそれらが交差するなかで、私たちが唯一つながったのが、あの時間でした。言葉や思いを乗せ、裸で触れ合い、そんな奇跡が大爆発して起こされたんだ、と私は信じています。 この道でよかったんだ、と思わせてもらったんです。いまの人生で間違ってなかったんだと思えることのひとつが、あなたに出逢えたことなんです。 描き下ろしでつづられていたあの言葉は、私があのとき伝えたあの言葉は、私のなかでもずっと、いまでも、テーマになっているんです。 あなたに向けた言葉だったけれど、同時に自分にも伝えたいことだったんだと思います。 P.S. 実は、時々あなたへのメッセージをブログで書いてました。 いま元気にしているのかな? なんてことをね。 こうやっていま、あなたからの返信をいただけたことを幸せに思います。

【ゆう プロフィール】

永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025

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