3度の王者ネルソン・ピケがハミルトンに対し差別的発言。FIA、F1、メルセデスを筆頭にF1界が非難の声明を発表

 3度のF1チャンピオンであるネルソン・ピケが、ポッドキャストの中でルイス・ハミルトンを指して人種差別的な言葉を使ったことが明らかになり、F1、FIA、ハミルトンが所属するメルセデスがこれを非難する声明を発表した。ハミルトン自身も、この問題について発言、多数の人々が彼への支持を表明している。

 1981年、1983年、1987年のF1チャンピオンで現在69歳のピケは、昨年11月に公開されたポルトガル語でのポッドキャストのなかで、2021年F1イギリスGPでのハミルトンとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の接触について語った。ピケは事故についてハミルトンを非難、この際に何度かハミルトンを名前で呼ばずに差別的な単語を使った。

2022年F1第8戦アゼルバイジャンGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 2022年イギリスGPを前に、この問題が大きく取り上げられるようになり、F1とFIA、メルセデスが声明を発表した。ただ、いずれもピケの名前を出すことなく、人種差別的言動を非難するものになっている。FIAがピケに対して何らかの処罰を科すのかどうかは現時点では不明だ。

 F1の声明は以下のとおりだ。

「差別的、人種差別的な言葉は、どんな形であれ容認できず、それらが社会に存在する余地はない。ルイスは我々のスポーツにとって素晴らしい大使であり、尊敬に値する。多様性と包括性を高めるための彼のたゆまぬ努力は、多くの人にとっての教訓であり、我々がF1において取り組んでいることでもある」

「FIAは、人種差別的あるいは差別的な言動を強く非難する。それらがスポーツや社会全体に存在する余地はない。我々はルイス・ハミルトンとの連帯を表明し、モータースポーツにおける平等、多様性、包括性への彼のコミットメントを全面的に支持する」と、FIAはコメントした。

 ハミルトンが所属するメルセデスチームの声明は以下のとおり。

「我々は、いかなる種類であれ人種差別的、差別的な言葉の使用を、最も強い言葉で非難する。ルイスは人種差別と戦うための我々のスポーツの取り組みの先頭に立ってきた。彼はコース上でもコース外でも多様性の真のチャンピオンである。我々は、共に、多様で包括的なモータースポーツのビジョンを共有しており、今回の事件は、より明るい未来のために努力し続けることの根本的な重要性を強調するものである」

 ハミルトンもまた、この一件について、次のようにコメントした。

「言葉以上の問題だ。こうした古い考え方は変える必要があるし、僕たちのスポーツにその考えが入る余地はない。僕は生まれてからずっと、このような態度にさらされ、標的にされてきた。学ぶ時間は十分にあった。行動を起こす時が来たのだ」

 差別的言動を非難するこういった声明に続き、F1チームやドライバーたちも声を上げている。

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