奥武ハーリーの起源は? 歴史学び、櫂をこいで体験 南城市・玉城中

 【南城】南城市立玉城中学校の1年生160人余が17日、奥武島で爬龍船(はりゅうせん)に乗ってハーリー体験学習を実施した。郷里の歴史を学ぶだけでなく、力の限り櫂(かい)をこいで伝統行事の大切さを体感した。

 16日には奥武区長の中本進さん(73)が同校を訪れ、1年生に奥武島ハーリー(海神祭)について講演した。

 17、18世紀ごろ、唐の船が台風に遭い奥武島海岸に漂着。奥武島の住民が危険を顧みずに救出して無事、国へ帰したという。

 その恩返しに奥武島の守護神として観音像と仏具一式が贈られてきた。島では観音像をまつった観音堂を拠点に毎年、航海安全と豊漁、区民の融和と繁栄を祈願して奥武島ハーリーを継承している歴史を説明した。

 さらに奥武島の海頭日記帳に1912(明治45)年旧暦5月4日に爬龍船競走のことが記載されており、中本区長は「そのころから始まったのではないか」と推測した。

 ハーリー体験では5クラスの1年生を2チームずつ8組に編成し初ハーリーに次々と挑んだ。要となるかじ取りは漁業組合青年部が務め生徒が鉦(がね)を打ち、櫂(かい)を懸命にこいだ。

 約1時間のハーリー初体験を終えて生徒たちは「楽しかった」と喜びの表情を浮かべた。生徒の一人は「最初は力負けしてこぐのが大変だったが慣れてくると楽になった。鉦打ちもやって良かった」と話した。

 (知花幸栄通信員)

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