高齢者のYouTube利用率、ついに9割へ!深刻なテレビ離れの一方で、ユーチューブが愛される本当のワケ

60歳以上を対象とした「シニア世代のYouTube利用に関する実態調査」がこのほど発表され、高齢者のYouTube(ユーチューブ)利用率がなんと約9割(87%)にも達することが明らかになりました。

一方、情報収集の手段としては「テレビ・ラジオ」が13%と極めて低かったことが注目されます。
どうやら高齢者の皆さんはテレビ離れが進むとともに、YouTubeの視聴へと流れているようです。

一体どんな理由があるのでしょうか。

「シニアのYouTube利用実態調査」

今回のアンケート調査は、不動産担保ローン大手のSBIエステートファイナンス(東京・新宿区)が今年4月下旬、首都圏の60歳以上の男女257名(持ち家所有者)を対象に行ったものです。

【本調査で分かったこと】
シニア世代のYouTube利用率は約9割になりました。
視聴する端末はパソコンが多数を占め、スマホよりパソコンを好むというシニアの特徴が見受けられます。
一方、テレビで視聴する人はまだ少数です。
今後はネット動画対応のテレビが増えれば、テレビでのYouTube視聴が増えていくのではないでしょうか。

それでは、具体的な質問とその回答について紹介します。

1.住み替えなど住まいに関する情報はどこで収集するか

「WEBサイト」が38%と最多で、オールドメディアと呼ばれる「新聞・雑誌」(23%)、「テレビ・ラジオ」(13%)を大きく上回っています。
シニア世代の情報収集の手段は、すでにデジタルへ移行していることが分かりました。

2.YouTubeを視聴したことがあるか

「はい」が87%で、YouTubeはシニア層にも大いに浸透しています。

3.YouTubeを視聴するとき最も使用する端末は

「パソコン」が62%と圧倒的な結果でした。
次いで「スマホ」が25%と続きます。
テレビでYouTubeを視聴する割合は今のところ少ないようです。

音楽もニュースもユーチューブで!

4.YouTubeでどんな情報番組があったら視聴するか

1位 「音楽」(35%)、2位 「ニュースと政治」(31%)、3位 「映画」(30%)で、テレビと同じ内容が好まれていることが分かりました。

意外にも「金融・不動産」(19%)が「ドラマ」(19%)や「ペットと動物」(13%)などと同じレベルです。
娯楽ではなくノウハウを学ぶ動画にも、一定の関心があることが伺えます。

5.今後、YouTubeで情報収集したいか

「そう思う」(25%)、「どちらかといえばそう思う」(23%)が全体の48%と関心の高さが分かりました。
今後、シニア世代にYouTubeが浸透していくことは間違いなさそうです。

YouTubeを利用する理由としては、「手軽に情報取集できる」(74歳男性)、「視覚(映像)の方がわかりやすい」(60歳女性)、「いいコンテンツが見つかれば楽に情報収集ができる」(63歳男性)、「楽しい情報が得られそう」(74歳女性)といった意見がありました。

テレビは高齢者向けの番組が減った!

では、なぜ高齢世代の皆さんはユーチューブを選んでいるのでしょうか。

著名なマーケティングアナリストの原田曜平氏は、こう分析しています(著書「シン世代マーケティング」より)。

『団塊の世代のテレビ離れが進んでいます。テレビ局がメインターゲットの年齢を13~49歳へ引き下げ、高齢の彼らが外されたことで、見たい番組も減っている。そのため、テレビからYouTubeへ流れてしまったのです』
『いま団塊世代の方々はYouTubeを通して、好きだった芸能人の過去の映像や、趣味に特化した動画などを浴びるように見ています。メディア視聴の習慣が大きく変わったのです。
インタビューで分かった事例としては、「クラシック音楽好きの方が海外の交響楽団の演奏を検索で探して視聴する」「昔の時代劇を見る」「加山雄三のコンサート映像を観る」といった楽しみ方をしています』

この記事と画像の出典:SBIエステートファイナンス㈱ 公式サイト、単行本「シン世代マーケティング」(原田曜平著、ぱる出版)

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