7月5日に告示される福井県永平寺町議会議員選挙(定数14人)が、定数割れとなる可能性が出ている。告示まで1週間となった6月28日時点でも、出馬の意向を示しているのは現職、新人合わせて13人で定数に届いていない。町選管によると、定数割れは平成の大合併前の3町村時代も含め前例がなく、関係者に「異常な事態だ」と懸念が広がっている。
福井県選管によると、平成の大合併後の17市町の地方議員選では、これまで定数割れとなったことはない。大合併前についても、担当者は「記録が残っておらずよく分からないが聞いたことがない」としている。
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町議選では、現職14人のうち9人が出馬準備を進めている。現職以外では元職と新人の計6陣営が6月3日の立候補予定者説明会に出席したが、このうち出馬の意向を固めたのは新人4人で、現職と合わせ13人にとどまっている。残る元職、新人の2人は福井新聞の取材に「今回は断念した」などと話し、不出馬の公算が大きい。
ある現職は「ほかに出馬を模索する動きはあるようだが、いまだ具体化していない。このままでは無投票どころか欠員が生じてしまう」と危惧する。町選管によると、改選時に欠員が3以上となった場合は40日以内に補充のため再選挙が行われるが、2以下の場合は欠員が生じたままとなる。
こうした状況に、ある新人の陣営関係者は「若い世代が出馬できる環境が整っていないのが要因ではないか」と指摘。身近に本業との両立への不安から出馬をためらう人もいるといい「今後は夜間議会の開催や、審議時間の短縮などの議会改革が必要だ」と話す。
別の新人の関係者は「議員報酬の問題もあるのではないか」と話す。永平寺町議会事務局によると、同町議の報酬は月額22万円と県内市町議員で最も低い。この関係者は「定数を削減して報酬を上げるなどしないと、なり手はいないのでは。改選後に議論してもらいたい」としている。