ソフトバンク、高高度係留気球基地局の実証に成功

ソフトバンク株式会社は、2022年5月に北海道大樹町多目的航空公園で、フットプリント(通信エリア)の固定を実現する「シリンダーアンテナ」を搭載した高高度係留気球基地局の実証実験を行い、広域で安定した通信エリアの実現に成功した。

アルタエロスエナジーズ社の高高度係留気球「ST-Flex」を高度249mに係留させて通信試験を行い、見通しが良い環境下においては、最大数十kmの距離で広域な通信エリアが確保できることを確認したという。風速および風向に応じて、係留気球基地局の姿勢や位置が変動する場合でも、携帯端末においてハンドオーバーが発生せず、受信レベルの変動も抑えられ、安定した通信ができたとしている。

フットプリント固定技術は、ソフトバンクおよびHAPSモバイル株式会社が、成層圏から通信ネットワークを提供するプラットフォーム「HAPS」(High Altitude Platform Station)で、安定した通信エリアを構築するという。「シリンダーアンテナ」を用いたデジタルビームフォーミング制御により、機体の旋回に合わせて動的に電波の向きを制御し、通信エリアを固定させることで、ハンドオーバーを防ぎ安定した上空からの通信ネットワークを実現するとしている。

高高度係留気球基地局の特長

  • 3本の係留索(ロープ)をAIで制御することで、最大高度305mでの安定した気球の係留を実現
  • 最大60kgのペイロードの搭載が可能
  • 最大高度305mの上空に係留することで、広域の通信エリアの構築を実現
  • フットプリント固定技術により、回転・移動・揺らぎなどの気球の動きに左右されない、安定した通信エリアを実現
  • オートパイロットシステムにより運用人員を削減

同社は、今回の実証実験を通して得たノウハウやデータを災害時の通信エリアの復旧やHAPSの通信プラットフォーム構築に活用することを検討していくという。

▶︎ソフトバンク株式会社

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