炊いた米 古墳時代も主食? 岡山大院生ら 歯石にでんぷん確認

 古墳時代も炊いたご飯が主食? 岡山県内の古墳から出土した人骨の歯石から、米とみられるでんぷん粒を検出したと岡山大大学院社会文化科学研究科1年の岩本紗采さん(22)、同大文明動態学研究所の鈴木真太郎教授(42)=生物考古学=が30日発表した。煮沸された特徴があり、炊いた米だった可能性が高いという。

 弥生土器に付着したでんぷん粒などから、当時既に炊飯が行われていたことは知られているが、人の歯石での確認は初めて。古代人の歯石分析は海外で成果を上げているが国内では例が少なく、岩本さんは「今後は他の時代も調べ、食の歴史を解明したい」と話す。

 調べた人骨は岡山、津山市の円墳(5、6世紀)に埋葬された2体。歯の表面に付いた歯石から、遠心分離機や薬品を用いて計15粒のでんぷん粒の採取に成功した。粒の形状からアワやヒエなどではなく、煮沸で膨張した際に内部が空洞状になる特徴もあり、炊いた米と結論付けた。

 合わせて、倉敷市の貝塚から出土した縄文人骨の歯石も分析。検出したでんぷん粒は形状や大きさにばらつきがあり、ドングリなど多様な食材を、煮具合を変えて調理していたとみられる。狩猟採集の縄文人と、弥生以降の農耕中心の生活スタイルの違いも分かるという。

 現在は中世の人骨でも分析を進めており、有力者や庶民などの違いも調べることで、鈴木教授は「時代や社会的な階層が食生活に与えた影響に迫れる」としている。

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