この夏、Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手たち(2022年版)

季節は夏。照りつける日差しのもとで、今年も多くのイベントが開催されるであろう。

花火、祭り、盆踊り、淡い恋。

それらを差し置き、我々にとって特に見逃せないイベントが「Jリーグチームの補強」だ。

例年同じことを書いているので見飽きた方もいらっしゃるかもしれないが、Jリーグにおける補強の通説は「冬はチャレンジ、夏はピンポイント」。さらに言うと「守備は国内、攻撃は国外」の傾向がある。

シーズン終盤にかけて熾烈になる争いへ向け、新たな風を吹き込む新外国籍選手たち。

ここでは冬に引き続き、「Jリーグにやって来そうな外国籍選手」を紹介したい。選びに選び抜いた総勢14名。ぜひご覧ください。

ルアン

Luan Guilherme de Jesus Vieira

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:29歳
所属:SCコリンチャンス・パウリスタ(BRA)

今夏、アジアのサッカー市場を最も賑わせそうなビッグネームだ。

グレミオの下部組織時代から「ブラジル・サッカー界屈指のアタッカー」と謳われ、各カテゴリーのブラジル代表に選出。2016年に行われたリオデジャネイロ五輪ではU-23ブラジル代表の主力として金メダル獲得に貢献した。

180cmのスラッとした体系からシャープなフォームのシュートを放つほか、ドリブル、パス、FKの全てが一級品。献身的なプレースタイルも評価されている。

グレミオ在籍時には欧州のトップクラブがこぞって獲得に動いたものの、負傷などによりキャリアが暗転。現在もブラジルの名門コリンチャンスに在籍しているが、レギュラーを掴めていない状況だ。

財政難に悩むコリンチャンスはルアンの高額のサラリーをすぐにでも削減したいため、今夏の市場で放出させたい意向とのこと。

契約は来年まで残っているものの、市場価値が下がっているため強気に出られないはず。予算の関係で大きく絞られるが、ファイナルサードで決定的な違いを作りたいJリーグのクラブが獲得に動いている可能性は極めて高いと言えるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

トルゲイ・ボルヴェン

Torgeir Børven

国籍:ノルウェー
ポジション:FW
年齢:30歳
所属:ガジアンテップFK(TUR)

キャスパー・ユンカー(28/浦和レッズ)がブレイクする前年度、2019年のノルウェー・リーグ得点王。185cmの長身から繰り出されるヘディングは強烈で、ゴール前で抜群の決定力を誇るボックスストライカーだ。

2020年から活躍の場をトルコへと移し、アンカラギュジュを経て、現在はガジアンテップFKに在籍中。

トルコでも順調なキャリアを重ねていたが、ガジアンテップでは本来の実力を発揮できず、現地では今夏に放出されるのでは?と報じられている模様。

現在までにノルウェーを含む複数のクラブが獲得に乗り出しているそうだが、ここにJリーグのクラブも参加してきそう。プレースタイルも日本人FWにないものを持っており、J入りの可能性も低くはないだろう。

最大のネックはガジアンテップとの契約を残しているため、移籍金が生じることか。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

アドリアン

Adryan Oliveira Tavares

国籍:ブラジル
ポジション:MF
年齢:27歳
所属:FCシオン(SUI)

2011年に開催されたU-17W杯でブラジル代表の10番を背負った経歴を持つ、元“超逸材”。卓越したボールテクニックと閃きあるプレーに誰もが目を奪われ、CRフラメンゴ在籍時には「ジーコの後継者」として将来を嘱望されていた。

その後は伸び悩み、カリアリやリーズ・ユナイテッド、FCナントなどでプレーするも芽が出ず。2017年からスイス・スーパーリーグのFCシオンでプレーしているが、今夏に契約満了での退団が有力視されている。

現時点でJ入りの噂はなく、ブラジル国内では古巣のフラメンゴ復帰の可能性が取り沙汰されている。

年齢的にもまだ若く、攻撃においてタメを作れる能力は非常に高い。市場価値も低く、今夏はJ1、J2に限らず獲得に乗り出すクラブが出てきそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

マルコ・シュチェポヴィッチ

Marko Šćepović

国籍:セルビア
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:フリー ※前所属 オモニア・ニコシア(CYP)

ボックス内で格の違いを見せつける191cmの大型ストライカー。

名門パルチザン・ベオグラードで活躍した後、ギリシャのオリンピアコス、スペインのマジョルカなど世界各国のクラブでゴールを量産してきた。期待外れに終わったが、かつてタイの強豪ブリーラム・ユナイテッドに在籍したことも。

ちなみに、実兄は2020年にFC町田ゼルビアでプレーしたステファン(32)。彼もまた世界各国のクラブでプレーし、現在はキプロスのAELリマソールで活躍中である。

昨シーズンは17試合7ゴール。ヨーロッパ・カンファレンスリーグに挑戦したチームにおいて貴重な戦力として活躍した。フリーとなった今夏は多くのクラブが獲得に乗り出しており、前線の強度不足に悩むJリーグのクラブも動きそうな魅力を持ったタレントだ。

市場価値を考慮すると、獲得に乗り出しそうなのはJ2~J3上位のクラブか。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

アーロン・グンナルソン

Aron Gunnarsson

国籍:アイスランド
ポジション:MF
年齢:33歳
所属:アル・アラビ・ドーハ(QAT)

2010年代後半におけるアイスランド代表の躍進に貢献したファイター。

中盤の底から前線まで縦横無尽と駆け上がり、味方を鼓舞しながらプレーするさまはまさに「闘将」。ロングレンジでもゴールを狙える強烈なFKやハンドボールの経験を生かしたロングスローといった飛び道具も併せ持つ。

また現在は綺麗に剃られているものの、かつてはベガルタ仙台のブラジル人MFフォギーニョ(30)を彷彿とさせる立派な髭をたくわえていた。

2019年に恩師であるアイスランド人指揮官ヘイミル・ハルグリムソン氏直々のオファーを受けカタール・スターズリーグのアル・アラビ・ドーハへ加入。昨シーズンも主力としてプレーしたが、すでにハルグリムソン氏は監督を退任しており、来シーズンの契約は白紙状態である可能性が高い。

仮に退団となった場合は慣れ親しんだ欧州リーグへの復帰が考えられるが、中盤を引き締めたいJリーグのクラブも獲得に動きそう。

EURO2016に出場した際、「バイキングクラップの総指揮役」を担った有名なビッグネーム。個人的にもJリーグで観たい選手の一人だ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

マウリシオ

Maurício dos Santos Nascimento

国籍:ブラジル
ポジション:DF
年齢:33歳
所属:フリー ※前所属 ジョホール・ダルル・タクジムFC(MYS)

マレーシア・スーパーリーグの絶対王者、ジョホール・ダルル・タクジムFCの大黒柱として長らく活躍した185cmの大型CB。フィジカルを生かした1vs1や後方からのビルドアップに定評があり、セットプレー時にはターゲットマンとしても機能する。

マウリシオはかつてポルトガルのスポルティング、イタリアのラツィオなどのビッグクラブでプレーした経験をチームへ注入し、ジョホール在籍期間の4年間で実に8個ものタイトルを獲得した。

ところがジョホールは今夏、インドネシアのパスポートを取得した元U-23スペイン代表DFジョルディ・アマト(30)の獲得が有力視されており、その煽りを受けマウリシオはすでに退団が決定。現在はフリーの身である。

やや負傷癖があるのとスピード不足は否めないが、圧倒的なパワーはいまだにワールドクラス。守備の立て直しに向けて獲得に動くJリーグのクラブが出てきてもおかしくはないだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

アレフ・サウダーニャ

Alef dos Santos Saldanha

国籍:ブラジル
ポジション:MF
年齢:27歳
所属:MOLフェヘールヴァールFC(HUN)

ダイナミズムあるプレーで攻守のつなぎ役となるセントラルMF。186cmとリーチの長さを生かしたディフェンスはもちろん、ブラジル人らしい柔らかなボールタッチも併せ持つ。

ブラジルでは年代別代表として2015年のU-20W杯にも出場。その後ポルトガルのSCブラガへと移籍し、様々なクラブへのローン移籍を経て、2020年からハンガリーでプレーしている。

期待されてフェヘールヴァールへ加入したアレフであったが、今シーズンもレギュラー定着とはいかず、ベンチを温める日が続いた。今のところJリーグ入りの噂はないが、そのサイズとプレースタイルはリーグ途中から加入するにあたって有効ではないかと考える。

そろそろキャリアを落ち着かせたい年頃でもであるため、代理人を通じて移籍へ向かう可能性が高そうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

チャン・ユノ

Jang Yun-ho/장윤호

国籍:韓国
ポジション:MF
年齢:25歳
所属:全北現代モータース(KOR)

韓国の名門クラブ、全北現代生え抜きの守備的MF。ボール奪取能力に優れ、足元の技術も水準以上。韓国人選手のストロングである闘志あふれるプレーにも定評がある。

年代別の韓国代表にもコンスタントに選出され、2018年にはソン・フンミン(29/トッテナム・ホットスパーFC)らと共にジャカルタで開催されたアジア大会に出場し金メダルを獲得。兵役免除の恩恵を受けた。

若くしてトップチームでデビューしたが、近年は分厚い選手層を誇るクラブにおいて伸び悩み気味。ここ数年はローン移籍を繰り返しており、全北へ復帰した今シーズンも新設されたセカンドチームでのプレーが続く。

今夏は出場機会を求めて移籍する可能性が高そう。Jリーグへやって来る可能性は十分ありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

アンドリヤ・パヴロヴィッチ

Andrija Pavlović

国籍:セルビア
ポジション:FW
年齢:28歳
所属:ブレンビーIF(DEN)

デンマークの強豪ブレンビーで9番を背負う189cmの大型ストライカー。

エアバトルはもちろん、左足からのコントロールショットも魅力。近年は代表から遠ざかっているものの、オーストリアのラピド・ウィーンやキプロスのAPOELなどで活躍した。

ブレンビーとは2024年までの長期契約を結んでいるが、クラブはすぐでも彼を売りたいと考えている模様。理由は練習態度やすぐ痛みを訴えるメンタルの弱さで、コーチ陣の反感を買っているとのこと。

現時点でJ入りの噂はないが、格安で獲得できるなら手を挙げるクラブが出てもおかしくはないだろう。もちろん素行面も含めて獲得に乗り出すかの話だが…。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

カズ

Christian Kendji Wagatsuma Ferreira (Kazu)

国籍:ブラジル
ポジション:DF
年齢:22歳
所属:コリチーバFC(BRA)

積極的なインナーラップでゴールを狙う超攻撃的左ラテラル。名門グレミオの下部組織在籍時には将来を嘱望され、U-17ブラジル代表にも選出された。

日系選手で本名は「クリスティアン・ケンジ・ワガツマ・フェレイラ」。だが、かつてコリチーバで活躍した元日本代表FW三浦知良選手にちなんで「カズ」と呼ばれているとのこと。

現時点でJ入りの噂はないが、コリチーバでは今ひとつ殻を破れていない状況にある。

左サイドならどこでもこなせる万能性と、攻撃力の高さは魅力的。年齢もまだ22歳と若く、将来性もあり、今夏は獲得に乗り出すJクラブがあるかもしれない。

ルーツのある日本で「キング」となる日はやって来るだろうか。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

カモ=カモ

Kevin Kamo-Kamo Cumbane

国籍:モザンビーク
ポジション:FW
年齢:23歳
所属:ヴィトーリア・セトゥバルFC(POR)

169cmと小柄だが、ミニバイクのような機動力を武器に左サイドを突破するウィンガー。

アフリカ系の選手に共通するリーチの長さも武器で、スルスルとした動きでサイドを攻略。ただドリブル一辺倒のタイプではなく、機を見てスルーパスを出すなど戦術的な引き出しも多い。

10代の頃からモザンビーク代表として活躍している一方、クラブレベルでは今ひとつ満足した結果を挙げていない。そのため今夏は出場機会を求めて移籍する可能性がある。

近年のJクラブはポルトガルリーグから選手を獲得する傾向があり、彼に目をつけたクラブもあるかもしれない。

名前のインパクトもあり、仮にJ入りとなった場合は大手サッカー専門店とのコラボ商品が実現する可能性も。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

サムエル・ローサ

Samuel Rosa Gonçalves

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:サムット・プラカーン・シティFC(THA) ※ブリーラム・ユナイテッドFC(THA)からローン移籍中

ブラジルの名門フルミネンセで育成された経験豊富なストライカー。

187cm、90kgと圧倒的なフィジカルを誇る一方、足裏を駆使したテクニカルなドリブルと豊かなスピードを併せ持つ。前線でどっしり構えるタイプではなく、サイドに流れてリズムを掴むムービングタイプのストライカーだ。

フルミネンセを退団後は活躍の場をアジアへ移し、UAEのアル・ナスル・ドバイや韓国の全北現代、タイのブリーラム・ユナイテッドなど名門クラブを渡り歩く。

今シーズンは途中から吉田靖氏率いるタイ1部リーグのサムット・プラカーン・シティへローン移籍。1部残留への切り札として期待されたが、13試合2ゴールと活躍出来ずにチームも2部へ降格した。

来シーズンの動向は未定だが、個の力はJリーグでも十分通用するだろう。アジアを渡り歩いた流浪のストライカーの動向に注目だ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ベン・ハロラン

Ben Halloran

国籍:オーストラリア
ポジション:MF
年齢:30歳
所属:フリー ※前所属 FCソウル(KOR)

スピードとテクニックに優れたオーストラリア・サッカー界屈指のアタッカー。独特なリズムを持ち、意外性あるプレーで数多くのチャンスを演出する。

生まれは世界遺産、グレートバリアリーフに面した観光地のケアンズ市。現地の有力クラブ、ゴールドコースト・ユナイテッドから一気にスターダムへとのしあがった。

2018年に長崎に在籍したが、家庭の事情によりわずか半年で退団。その後、母国リーグのアデレード・ユナイテッドで輝きを取り戻し、エースとして国内カップ2連覇に貢献した。

今年1月から韓国の強豪FCソウルと2年契約を結んだものの、わずか2試合しか出場しないまま6月に双方合意のもとで退団している。

現時点でJ入りの報道はなく、新シーズンが始まるAリーグ復帰が本命といったところか。

ただ実力は折り紙付きで、得点力不足に悩むJクラブが獲得に乗り出す可能性は低くないだろう。フリーであるため本来の市場価値より安く獲得できる点も魅力だ。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ビリー・ケトケオポムポン

Billy Ketkeophomphone

国籍:フランス、ラオス
ポジション:MF
年齢:32歳
所属:フリー ※前所属 スリ・パハンFC(MAS)

日本代表GK川島永嗣が所属するストラスブールのアカデミーで育成された攻撃的MF。ボールタッチが柔らかく、広い視野を持つ。

これまでフランスの中堅~下部クラブで200試合以上に出場しており、東南アジア系の選手として初めてリーグ・アンの公式戦に出場した実績を持つ。

生まれも育ちもフランスだが、ケトケオポムポンは80年代に難民としてフランスへ渡ったラオス人両親のもとに生まれたため、兼ねてからラオス国内においてラオス代表入りが期待されていた。

昨年12月にようやくラオス代表としてデビュー。10番をつけ攻守において大黒柱の活躍を見せた。

現在はフリーであり、今夏は獲得に動くJリーグのクラブがあるかもしれない。J入りとなった際は「史上初のラオス人Jリーガー」となるが果たして。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

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