第八十六回「"調子っぱずれの中古品"、ロレッタセコハンはバンド名も音楽もセンスあり」

センスをというのは人それぞれで、「あの人センスあるね」と言われている人でも、はたから見たら「どうなんだろう」と思ってしまうこともあります。というか、センスを気にしてばかりで物事を遂行しても、そっちのほうがダサくなってしまうような気もします。だから本当は、センスなんてどうでもよくて、本人が、それを好きで楽しくやっているのかというのが一番重要なのではないでしょうか。 しかし、そのようなことを言っておきながら、またセンスの話に戻りますと、これはあくまで主観ですが、たとえば、音楽バンドなどは、そのバンド名によって、センスうんぬんを感じる場合がありますし、逆に、なんでこんな名前なんだろう? と思ってしまうバンドもあります。 でもって、これも完全なる主観ですが、わたしが、いままで、「こりゃセンスあるなあ、格好いいなあ」と思ったバンド名は「ロレッタセコハン」であります。

「ロレッタ」というのは、呂律のまわらない、調子がズレてるという意味になるのでしょうか、そんでもって「セコハン」は、セコンドハンドつまり中古品というわけだから、「調子の狂った中古品」という意味のバンドになります。そもそも、どうして、このようなバンド名になったのか調べてみたら、映画『ブルース・ブラザーズ』の台詞の中(それも吹き替え版の台詞というのがこれまたイカしてる)に、「このオルガン、セコハンの上に音がロレってるぜ」というのがあって、そこから命名されたようです。そんなこんなで、「ロレッタセコハン」は、命名の由来まで最高なのであります。しつこいけど、吹き替え版ってのが最高! さらにバンド名だけではなく、音楽自体も、とんでもなく格好いいのですよ。おすすめは、『まくり差し』か『ポップ来るべきもの』というアルバムですが、今回は、『ポップ来るべきもの』をおすすめしたい。 このアルバム、サックスでリーダーのの出利葉信之さんとドラムスの時津梨乃さんから音楽構成されておりまして、これが、またセンスの塊みたいな音曲がバシバシ迫ってくるわけです。追いつけないけど近い、そして遠かったり、「ああ、これこそセンスというものであるのだ」と思えてきます(あくまで主観だけど)。 しかし、このアルバムを最後に、ドラムスの時津さんは脱退してしまったようです。その後も活動してるようなのですが、現在、ウィキペディアからホームページに飛んだら、『医療の白衣やエプロンは通販で購入できる』といったなんだかわからないページになってしまっていて、どうしてしまったんだろう? でも、もしかしたら、そのページすら、ふざけているのか? と思えてしまうくらい、「ロレッタセコハン」は格好いいです。 なにはともあれ、このようなバンドがバシッと活動を続けていける国にならなないと、日本はどんどんダサくなっていってしまうのではないかと感じます。調子っぱずれの中古品、ロレッタセコハンの素晴らしく凄まじい音を、是非聴いてみてください。

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