ため池や河川といった水辺の事故が増える夏場を迎え、赤磐署と赤磐市消防署は6月30日、初の合同水難救助訓練を山陽浄化センター(同市立川)で行った。一刻を争う現場での連携を強化し、水中に落ちた人をいち早く救助する手順を再確認した。
池で釣りをしていた男性がゴムボートから転落し、目撃した通行人が警察に通報した―との想定。赤磐署と市消防署から約30人が参加し、同センターのため池で訓練に臨んだ。
駆け付けた警察官はロープ付きの浮き輪を投げ入れたがうまく届かず、赤磐署の通報を受けて出動した消防署員が、救命ボートを急いで準備。救助隊3人が乗り込んで、溺れる男性に近づき、慎重にボート上に引き上げた。通行人役の男性が誤って足を滑らせて池に落ちるハプニングも再現。警察官が素早く駆け寄って刺股を差し出して助けた。
「溺れる人を見つけた時、飛び込んで助けに行くのは危険。可能なら、浮かんで救助を待てるよう、浮力がある物を投げ入れて」と井元官史消防長。訓練では、体重80キロ近い署員がジャージー姿で池に入り、ふたを閉めたクーラーボックス(容量約30リットル)や、空の2リットルペットボトル4本(袋入り)につかまれば、しばらくは浮くことができることも確認した。
赤磐署の難波康弘署長は「警察の装備や人員だけでは限界がある。消防との連携をこれまで以上に強化し、迅速な初動で市民の生命を守りたい」と話していた。
市消防本部によると、今年に入って市内で水難事故は起きていないが、昨年は30~70代の男女3人がため池や用水路で亡くなっている。