「住みたい街」本厚木 コロナ禍で躍進、再開発にも期待感

小田急線本厚木駅南口にそびえ立つ高層複合ビル「本厚木ミハラス」

 1日に公表された県内路線価。県内全18税務署管内でそれぞれ最も高い評価額をつけた地点のうち、小田急線本厚木駅前(厚木市)の上昇率は前年に続き3位となった。本厚木は近年、首都圏の「住みたい街ランキング」で上位に入る人気ぶり。背景には、新型コロナウイルス禍に伴う郊外住宅需要の高まりや、四半世紀ぶりに進んでいる再開発事業への期待感などがありそうだ。

 ある“異変”が起きたのは、コロナ禍がきっかけだった。

 不動産情報サイトを運営するライフル(東京都)が、2020年に緊急実施した首都圏版「コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」。本厚木が1位に躍り出た。定例調査でも21年、22年と2年連続トップ。19年の11位から急上昇した。

 調査は1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の物件を対象に、問い合わせの件数をまとめたもの。コロナ禍が始まってからは、これまで優位だった都心の駅が順位を下げ、郊外の駅の躍進が顕著だ。

 なぜか。調査を分析した「ライフルホームズ総研」の中山登志朗副所長は背景に都内企業のリモートワーク定着があると解説する。

 「毎日会社に行かなくていいならば、賃料が安い場所に移る。都心まで1時間程度で、駅前もにぎわう本厚木は、『賃料が安い割に便利』という、なかなかない場所の一つだ」

 地元の不動産会社の社長も「コロナ禍前と比べて、問い合わせは4~5倍になった」と明かす。「いったん住んでみれば、温泉や景勝地が近いという良さが分かる。本厚木がブランドになっている」と胸を張る。

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