空母建造を進める中国、「弱小国に対する威圧や懲罰に使いたいのだ」と米国専門家

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中国海軍の新型空母「福建」が6月中旬、進水した。中国の空母は「遼寧」「山東」に続いて3隻目。4隻目も計画中とされる。空母建造を進める中国に狙いについて、米国の専門家は「中国は巨大空母を弱小国に対する威圧や懲罰に使いたいのであり、米国と戦うつもりではない」との見方を示した。

米誌「フォーリン・ポリシー・マガジン」に寄稿した米国の国際安全保障専門家のサム・ロゲビーン氏は中国の意図を「米国の誇る世界最強の空母艦隊と対等に張り合いたいという願望も透けて見える」と分析。「米国の軍事的優位を支えてきたのは海軍力であり、海軍力の要は空母艦隊だ。しかし今、中国は『うちのほうが巨大で高性能な空母を造れるぞ』と言いたいらしい。だが、まだ無理だ」と断じた。

「福建」に関しても「米国の最新鋭空母ジェラルド・フォードと同様に電磁式カタパルトが採用されているようだが、福建は原子力空母ではない。だから補給なしの航続距離は限られる」と指摘。「しかも進水したばかりで、実戦仕様にまで高めるには何年もかかる。米国には福建級の空母がたくさんあり、どれも福建以上の戦闘能力を備えている」と続けた。

空母の役割をめぐっては「第2次大戦時のミッドウェー海戦のように、空母を中心とした艦隊の激突が21世紀に再現される可能性は低い。今や攻撃の主役は潜水艦や対艦ミサイルであり、空母はその標的になりやすい」と説明。「そもそも冷戦終結後の米国が空母を実戦で使ったのは、海からの攻撃に無防備な国(イラクやリビア)に対してだけだ。中国の意図も同じだろう」と述べた。

さらに「アジア太平洋に張り巡らした米国の安全保障ネットワークがほころんできたらどうか。現に中国は南シナ海で、ほとんど誰にも邪魔されずに人工島を造ってきた」と言及。「つまり中国はアジアにおける米国の軍事的存在感が今よりも低下する時代を見据え、『米国以後』のアジア太平洋で周辺国を威圧するために福建のような空母を必要としている」とした。

一方でロゲビーン氏は「中国は対艦攻撃能力を向上させ、潜水艦をはじめ、超低空飛行ミサイルを搭載した航空機、小型の高速艇、航行中の船舶を標的にできる弾道ミサイルなどの配備を進めてきた」と論評。「こうなると、米軍の艦艇も容易には中国の沿岸部に近づけない」と強調した。

その上で「中国の対米軍備増強のような賢明な投資を行えば、たとえ小国でも威圧しようとする中国艦隊の動きをけん制し、阻止することは不可能ではない」と助言。「空母は中国のパワーの象徴ではあるが、中国が必然的にアジア海域を支配するようになるとは限らないのだ」と結んだ。(編集/日向)