岩佐歩夢が2位。難コンディションの一戦で今季2度目の表彰台獲得【FIA F2第7戦シルバーストン レース1】

 7月2日、2022年FIA F2第7戦のスプリントレース(決勝レース1)がイギリスのシルバーストン・サーキットで開催され、小雨に降るウエットコンディションのなか、アルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)がFIA F2初優勝を飾った。

 日本勢の岩佐歩夢(ダムス)は5番手スタートから自身2度目の表彰台となる2位を獲得。さらに、ファイナルラップには自身初のファステストラップも記録した。一方、佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)はマシントラブルでリタイアとなった。

 第7戦の決勝レース1のグリッドは、現地時間1日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、予選で10番手タイムを記録したレッドブル育成のユアン・ダルバラ(プレマ・レーシング)がポールシッターとなった。

 フロントロウ2番グリッドにエンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)が並び、セカンドロウ3番グリッドにユーリ・ビップス(ハイテックGP)、4番グリッドにアルピーヌ育成のジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)が続いた。予選で6番手タイムを記録した岩佐は3列目の5番グリッドから、佐藤は19番グリッドからそれぞれスタートを迎えることとなった。

 なお、予選で17番手タイムを記録したラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)は、依然として首の痛みが続いていることを理由に、第7戦決勝レースへの出場を取りやめている。

2022FIA F2第7戦シルバーストン 岩佐歩夢(ダムス)

 現地時間17時(日本時間3日1時)、気温17度、路面温度27度、F1の予選に引き続き、小雨が降るウエットコンディションのなか、フォーメーションラップはセーフティカー(SC)先導のもと2周行われた。そのため、当初21周を予定していた決勝レース1の周回数は、1周減算の20周となり、ローリングスタートでグリーンフラッグを迎えた。

 ローリングスタートとなったことで上位勢は順位変動もなくオープニングラップは進む。そんななか、2周目にはフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)がフェリペ・ドルゴヴィッチ(MPモータースポーツ)を攻略して10番手にポジションアップ。

 4周目には首位のダルバラが2番手のフィッティパルディとのギャップを1秒以上に広げる。一方、3番手ビップスを先頭にドゥーハン、岩佐の3台が1秒差のなかで接近戦を展開。ドゥーハンは5周目にビップスを攻略。続いて岩佐が5周目のターン8でビップスに並びかけるとターン9進入で再び仕掛けるが、ここはビップスがポジションを守る。

 一方、5周目終盤にはポールシッターのダルバラがペースダウン。そのダルバラをフィッティパルディ、ドゥーハンが続けてパスし、ラップリーダーはフィッティパルディに変わった。その後方では、岩佐が6周目のターン8でビップスをかわし、4番手に浮上。さらに、6周目のターン16でダルバラを攻略し、表彰台圏内の3番手に浮上する。

2022FIA F2第7戦シルバーストン 岩佐歩夢(ダムス)

 首位に浮上したフィッティパルディもドゥーハンを引き離すまでには至らず、さらに7周目のセクター1でフィッティパルディがターン8でわずかにコースオフ。その隙をついたドゥーハンがトップに浮上する。中盤を迎え、ウエットタイヤのコンディションの差が大きく現れ、各所で目まぐるしく順位が交錯する展開に。

 さらに、8周目のターン9で岩佐がフィッティパルディを攻略し、2番手に浮上する。岩佐は残り12周で2.9秒先行するドゥーハンを追う展開に。しかし、ドゥーハンは岩佐より0.5〜0.8秒速いペースで後続とのギャップを着々と広げる。

 9周目にはテオ・プルシェール(ARTグランプリ)がダルバラをかわし、4番手に浮上。さらに、プルシェールはドゥーハンを上回るペースでフィッティパルディに接近するが、フィッティパルディも応戦し、1秒以上のギャップをキープする。

 そんななか、12周目には岩佐がドゥーハンのペースを上回り、ギャップを2.8秒まで縮める。しかし、岩佐の動きに反応したドゥーハンが13周目には2分0秒977とこの時点でのファステストを更新。岩佐も2分1秒239の自己ベストを記録し、両者のペースは均衡状態に。

 一方、一時は15番手までポジションを上げていた佐藤が、マシントラブルで12周目終わりにコースサイドにマシンを止め、リタイアとなってしまう。

 18周目、岩佐がこの時点でのファステストラップを更新する1分59秒726を記録するが、ドゥーハンとのギャップは3秒まで広がり、なかなか接近することができない。

 しかし、岩佐は19周目から猛烈なスパートをかける。毎周ファステストを更新する走りで、その差を19周終了時点でギャップを1.8秒まで縮める。ファイナルラップにはドゥーハンを射程圏内に捉えるが、わずかに届かず。ドゥーハンがトップのままチェッカーを受け、FIA F2初優勝を飾った。

 岩佐は0.9秒差の2位となり、FIA F2で2度目の表彰台を獲得。優勝には一歩届かなかったが、ファイナルラップに1分58秒954を叩き出し、初のファステストラップポイント(1ポイント)を獲得した。3位にはプルシェールを15秒引き離したフィッティパルディが続いた。

2022FIA F2第7戦シルバーストン 岩佐歩夢(ダムス)
健闘を讃えあう岩佐歩夢(ダムス)とジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)
山本雅史氏と岩佐歩夢(ダムス)
2022年FIA F2第7戦レース1表彰台。左から岩佐歩夢(ダムス)、ジャック・ドゥーハン(ビルトゥジ・レーシング)、エンツォ・フィッティパルディ(チャロウズ・レーシング・システム)

 続く、FIA F2第7戦シルバーストンのフィーチャーレース(決勝レース2)は現地時間7月3日の10時5分(日本時間18時5分)から行われ、岩佐は6番手から、佐藤は19番手からスタートを迎える。

■FIA F2第7戦シルバーストン スプリントレース(決勝レース1)暫定結果

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 3 J.ドゥーハン ビルトゥジ・レーシング 20Laps

2 17 岩佐歩夢 ダムス 0.932

3 22 E.フィッティパルディ チャロウズ・レーシング・システム 16.722

4 10 T.プルシェール ARTグランプリ 17.888

5 11 F.ドルゴヴィッチ MPモータースポーツ 21.717

6 9 F.ベスティ ARTグランプリ 26.830

7 6 L.サージェント カーリン 28.284

8 2 J.ダルバラ プレマ・レーシング 36.291

9 7 M.アームストロング ハイテックGP 38.699

10 20 R.フェルシュフォー トライデント 43.770

11 24 J.ヒューズ ファン・アメルスフォールト・レーシング 44.611

12 8 J.ビップス ハイテックGP 48.113

13 12 C.ノバラック MPモータースポーツ 49.448

14 16 R.ニッサニー ダムス 54.509

15 1 D.ハウガー プレマ・レーシング 55.235

16 25 D.ベックマン ファン・アメルスフォールト・レーシング 58.703

17 21 C.ウィリアムズ トライデント 66.077

18 14 O.コルドウェル カンポス・レーシング 66.411

19 23 C.ボリュクバシ チャロウズ・レーシング・システム 81.711

20 5 L.ローソン カーリン 95.025

– 4 佐藤万璃音 ビルトゥジ・レーシング DNF

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