南方系の樹木で丸いクリーム色の花を咲かせる「ヘツカニガキ(辺塚苦木)」の見学会が2日、自生地としては九州西岸北限域に当たる長崎県大村市日泊町で初めて開かれた。
地元住民ら約30人が参加した。開催した日泊辺塚苦木保存会(堀口稔伸代表)などによると、ヘツカニガキはアカネ科で、南は台湾や中国南部、沖縄県、北は九州や四国の南部に分布。6月末から7月初めにかけて球形の花を咲かせるが、1週間程度と短い。本県では諫早市飯盛町にある木が県の天然記念物に指定されている。
日泊町が含まれる大村市三浦地区では、1980年に地元の植物研究家が確認。市立三浦小にも移植されたが「地域では知る人ぞ知る樹木だった」(同保存会)。
今年2月、地域住民が保存会を設立。ヘツカニガキが自生する県精神医療センター近くの海岸沿いで除草作業に取り組んだほか、市の「なんでんかんでんチャレンジ40助成金」を活用して案内板を設置した。
見学会では諫早自然保護協会元会長の宮﨑正隆さん(80)が、ヘツカニガキの特徴や分布などについて解説。「限られた場所にしか生えていない貴重な樹木。案内板設置など保存活動が始まったのは意味あることだ」と語った。
保存会では今後、より多くの木を近くで観察できるよう除草作業を進めたいとしている。堀口代表は「見学会を通して、どんな樹木か分かってもらえたと思う。三浦地区の特色の一つとしてPRし、地域活性化につなげたい」と話した。