フォーミュラE第10戦はDSテチーター2台の猛攻を防いだモルタラが今季3勝目を挙げる

 7月2日、2021/2022年ABB FIAフォーミュラE世界選手権“シーズン8”第10戦マラケシュE-Prixがモロッコ・マラケシュで開催され、エドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)が優勝を飾り今季3勝目を挙げた。

 前日に行われた予選で第10戦のポールポジションを獲得したのはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)となり、モルタラが2番手に入るも、もう1台のDSテチーターを駆るジャン-エリック・ベルニュが3番手に続き、DSテチーター勢が速さをみせる予選結果となった。

 45分+1周の決勝レースがスタートすると、トップ3は順位をキープして1コーナーをクリアするも、4番グリッドのパスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)は5番グリッドのジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)に先行を許す。

 首位ダ・コスタの後方には、2番手モルタラ、3番手ベルニュ、4番手デニス、そして5番手にはウェーレインをかわしたミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)が続く隊列に。そして早くも4周目にDSテチーターの2台がコーナーアウト側に設けられたアタックモードのアクティベートゾーンに進入する。

2021/22フォーミュラE第10戦マラケシュE-Prix 決勝スタート

 これでモルタラが隊列の先頭に立つも、その1周後にモルタラもアクティベートゾーンに進み、再びダ・コスタがレースをリードする。その上位2台の後方には11番グリッドからレースをスタートしたオリバー・ローランド(マヒンドラ・レーシング)が猛烈な勢いでポジションを上げてきており、ダ・コスタが2度目のアタックモードに入るとトップはモルタラ、2番手ローランド、3番手ダ・コスタの順に。

 その後、4番手のエバンスが2度目のアタックモードを使用してダ・コスタとローランドを抜き去る快走をみせ、首位モルタラとの差を0.5秒に縮める。しかしレース残り20分、ローランドを抜いて3番手に浮上したダ・コスタがエバンスをかわして2番手に上がってくると、チームメイトのベルニュも同じくエバンスをオーバーテイクして3番手に浮上する。

 レースは残り11分、ここでDSテチーターがチームオーダーを発令し、ダ・コスタとベルニュの順位を入れ替える。2番手に上がったベルニュはモルタラからトップの座を奪うべくチャンスを窺うが、今季好調のモルタラはスキをみせずに落ち着いて首位を走り続ける。

 するとDSテチーターは再びダ・コスタとベルニュのポジションを入れ替え、ペースの上がらないベルニュに変わってダ・コスタにモルタラ追撃を託す。しかし、ダ・コスタのプレッシャーにも屈しないモルタラが一騎打ちを制してトップチェッカー、ダ・コスタが2位フィニッシュとなった。その後方ではファイナルラップでベルニュとエバンスの3位争いが激化し、最終的にエバンスがベルニュをオーバーテイクして表彰台の一角を仕留めた。

2021/22フォーミュラE第10戦マラケシュE-Prixを制したエドアルド・モルタラ(ロキット・ベンチュリ・レーシング)

 優勝を飾ったモルタラは「正直なところ、2回目のフリープラクティス後に多くの問題を抱えていて、この状況を覆すことはできないと思っていたけど、チームのプランと作戦を実行に移した結果、完璧なレースができた」と喜びをみせた。

「タイヤはもちろん、バッテリーの温度やエネルギーなど、今日は管理することがたくさんあったからとても難しかった。今日はクルマに問題があって、自分ではちょっと無理をしてしまったけど、そのおかげで非常に満足しているよ」

 この結果、モルタラはドライバーズ選手権で11ポイントのリードを築いてトップに立ち、ベルニュがランキング2位、ストフェル・バンドーン(メルセデスEQフォーミュラEチーム)が同3位に続く結果に。さらに4位にはエバンスが1ポイント差で続き、ランキングトップ4は後続を大きく引き離して残り6レースに挑むことになる。そんなフォーミュラEシーズン8の次戦は、2週間後の7月16~17日にアメリカ・ニューヨークでのダブルヘッダーレースが行われる予定だ。

パスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)とミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)の争い
アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)
ミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)
セバスチャン・ブエミ(ニッサンe.ダムス)
2021/22フォーミュラE第10戦マラケシュE-Prixの表彰台

■2021/22フォーミュラE第10戦マラケシュE-Prix 決勝順位結果

Pos. No. Driver Team Laps QF

1 48 E.モルタラ ロキット・ベンチュリ・レーシング 34 2

2 13 A.F.ダ・コスタ DSテチーター 34 1

3 9 M.エバンス ジャガーTCSレーシング 34 6

4 25 J-E.ベルニュ DSテチーター 34 3

5 11 L.ディ・グラッシ ロキット・ベンチュリ・レーシング 34 10

6 17 N.デ・フリース メルセデスEQフォーミュラEチーム 34 9

7 27 J.デニス アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE 34 5

8 5 S.バンドーン メルセデスEQフォーミュラEチーム 34 20

9 10 S.バード ジャガーTCSレーシング 34 13

10 30 O.ローランド マヒンドラ・レーシング 34 11

11 28 O.アスキュー アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE 34 7

12 94 P.ウェーレイン タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 34 4

13 37 N.キャシディ エンビジョン・レーシング 34 8

14 29 A.シムズ マヒンドラ・レーシング 34 19

15 36 A.ロッテラー タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム 34 22

16 23 S.ブエミ ニッサンe.ダムス 34 17

17 3 O.ターベイ NIO 333フォーミュラEチーム 34 14

18 4 R.フラインス エンビジョン・レーシング 34 15

19 99 A.ジョビナッツィ ドラゴン/ペンスキー・オートスポーツ 34 21

20 7 S.セッテ・カマラ ドラゴン/ペンスキー・オートスポーツ 34 12

NC 22 M.ギュンター ニッサンe.ダムス 32 18

NC 33 D.ティクトゥム NIO 333フォーミュラEチーム 28 16

© 株式会社三栄