中学時代の理科の時間数が特許出願数に影響、神戸大学など分析

中学時代の3年間、ゆとり教育を受けた世代の特許出願数が他の世代に比べて、減少していることが、神戸大学計算社会科学研究センターの西村和雄教授、同志社大学経済学部の宮本大教授、八木匡教授の調査で明らかになった。

神戸大学によると、研究グループは国内で研究開発に従事する人にアンケート調査をするとともに、2016年と2020年に調査した年齢別の特許出願数を分析し、ゆとり教育が特許出願数に与えた影響を探った。

その結果、中学時代に「ゆとり」、「新学力観」、「生きる力」の理数教育を受けた2020年で51歳以下の世代は、それ以前の世代に比べて特許出願数など研究開発成果で劣り、特許出願数と中学時代の理科の時間数に相関関係が見られることが分かった。

近年、日本人科学者が相次いでノーベル賞を受けているが、受賞者はゆとり教育以前に理数教育を受けてきた世代。現在は国別特許出願数で米国や中国に大きく後れを取っているほか、自然科学系論文の発表数も減少して世界トップクラスから引き離されている。

研究グループはゆとり教育の弊害が特許出願数などに表れたとし、今後も若い日本人科学者がこれまでと同じようなペースでノーベル賞の受賞を続けることに疑問符がつくとみている。

論文情報:

【Humanities & Social Sciences Communications】Japan’s R&D; capabilities have been decimated by reduced class hours for science and math subjects

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