回転円盤銀河誕生の最初期段階を発見

銀河誕生の瞬間の解明に迫る

回転円盤銀河誕生の最初期段階を発見 銀河誕生の瞬間の解明に迫る

詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。

早稲田大学大学院先進理工学研究科修士課程2年(当時)の徳岡 剛史(とくおか つよし)と、同理工学術院の井上 昭雄(いのうえ あきお)教授、筑波大学の橋本 拓也(はしもと たくや)助教、国立天文台および早稲田大学の菅原 悠馬(すがはら ゆうま)研究員、四国学院大学の清水 一紘(しみず いっこう)准教授らの研究グループは、132.8億光年かなたの銀河MACS1149-JD1が回転している兆候を発見しました。これまでに見つかった中で最遠方の回転円盤銀河となります。その回転運動はまだ弱々しく、回転円盤銀河誕生の最初期段階を捉えたと考えられます。

本研究成果は、アメリカ天文学会発行の『The Astrophysical Journal Letters』にて、2022年7月1日(金)にオンラインで掲載されました。

MACS1149-JD1の想像図MACS1149-JD1の誕生の様子のイメージ (Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

■研究者のコメント

井上 昭雄:アルマ望遠鏡のデータ解析と、回転円盤銀河モデルの構築は、今年3月に卒業した徳岡剛史さんが、学部4年生と修士課程、合わせて3年間をかけてやり遂げました。修士課程の2年間はコロナ禍と重なり、ほぼ完全にテレワークでの研究活動となりました。徳岡さんは、「ステイホーム」の時期に、むしろ集中して自宅でデータ解析とモデルプログラムの作成に取り組むことができたと語っています。コロナ禍の逆境が、ある意味、世界的な成果の創出につながったとも言えます。そうはいっても、徳岡さんの高い集中力と物理学の知識があっての成果です。

徳岡 剛史:私はとてつもなく遠くにある銀河が、どのような姿で、どんな運動をしているのだろうと想像しながら研究していました。皆さんにも是非、そんな想像を膨らませて、わくわくしていただければと思います。

■論文情報

雑誌名:The Astrophysical Journal Letters

論文名:Possible Systematic Rotation in the Mature Stellar Population of a z = 9.1 Galaxy

執筆者Tsuyoshi Tokuoka*1, Akio K. Inoue*1, Takuya Hashimoto*2, Richard S. Ellis*3,
Nicolas Laporte*4, Yuma Sugahara*1,5, Hiroshi Matsuo*5, Yoichi Tamura*6,
Yoshinobu Fudamoto*1,5, Kana Moriwaki*7, Guido Roberts-Borsani*8, Ikkoh Shimizu*9, Satoshi Yamanaka*10,11, Naoki Yoshida*7, Erik Zackrisson*12, Wei Zheng *13

所属:*1 Waseda University、*2 University of Tsukuba、*3 University College London、
*4 University of Cambridge、*5 National Astronomical Observatory of Japan(NAOJ)、
*6 Nagoya University、*7 University of Tokyo、*8 University of California, Los Angeles、
*9 Shikoku Gakuin University、*10 National Institute of Technology、*11 Toba College、
*12 Uppsala University、*13 Johns Hopkins University

掲載日:2022年7月1日(金)

掲載URL:https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ac7447

DOI:10.3847/2041-8213/ac7447