ヴェルスパ大分 尻上がりに調子を上げた前半戦 選手層が厚く、戦術の幅が広がる

J3ライセンスを申請しているヴェルスパ大分は、JFLリーグ前半戦最後のホームゲームで、東京武蔵野ユナイテッドFCに2-1で逆転勝利した。7勝3分4敗、勝ち点24で暫定4位に浮上した。今季のリーグ戦は、首位から7位まで勝ち点差が2と混戦模様。山橋貴史監督は「混戦はもう少し続くと思う。順位やライセンスを意識する状況ではない。一試合一試合で(勝ち点を)積み上げるだけ」と話した。

残り1試合を消化して前半戦を終えるが、山橋監督が率いて2年目のチームは、尻上がりに調子を上げている。山橋監督は「序盤戦は、天皇杯などがあり連戦で苦しかったが、勝負強さや勝ちへのこだわりが浸透してきた。リードされていても諦めずに戦えている」と振り返る。東京武蔵野戦でも試合開始直後に失点したが、焦ることなく試合をコントロールして前半に同点とし、後半に逆転。リードしてからも粘り強く守り抜いた。

東京武蔵野戦で2得点の中野匠

連戦を経験したことも収穫となっている。疲労軽減のために選手を入れ替え、総力戦で戦ったことで選手層が厚くなった。さらに、途中交代の選手がそれぞれの特徴を生かすことで、戦術の幅が広がっている。これまで最前線には、中村真人や前田央樹といったポストプレーや得点力のあるストライカータイプが配置されていたが、今は、スペースを作る動きができるセカンドストライカータイプの中野匠が入ることでポジションが流動的になり、相手守備をかく乱している。大分の攻撃の肝となるサイドの選手も、スピードを武器に縦突破を特徴とする選手や技巧派タイプなどがそろい、攻撃のパターンが増えた。

勝負の後半戦は、猛暑の中での試合となる。自陣で守備陣形を整え、しぶとく勝ち点を拾っていくチームが増える中、山橋監督は「省エネサッカーはしない。これまでと同様に前からボールを奪いにいく」と自分たちのスタイルを貫く。「(5枚の交代カードを使い)メンバーが半数代わっても戦力が落ちない」との自信があるからだ。

後半戦は、課題である下位チームへの取りこぼしをなくし、着実に勝ち点を積み重ね、悲願のJ3昇格を目指す。

イマジネーションあふれるプレーで躍動する藤本拓臣

(柚野真也)

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