松本潤、大河ドラマ「どうする家康」は「非常に今っぽいアプローチ」。大森南朋、山田裕貴、松重豊と愛知での撮影を報告

松本潤が主演を務める、2023年に放送のNHK大河ドラマ第62作「どうする家康」(日時未定)の取材会が、愛知県・名古屋で行われ、松本、大森南朋、山田裕貴、松重豊、制作統括の磯智明氏が出席した。

ドラマの脚本は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「相棒」シリーズ(テレビ朝日系)、「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズ(ともにフジテレビ系)などで知られる古沢良太氏が担当。誰もが知る歴史上の有名人である徳川家康(松本)の生涯を、新たな視点で描いた波瀾(はらん)万丈のエンターテインメント時代劇だ。家臣団のリーダー・酒井忠次役を大森、最強サムライの本多忠勝役の山田、ザ交渉人・石川数正役を松重が務めている。

撮影の日々について、松本は「非常に有意義な刺激的な時間を過ごさせていただいています。クランクイン前、大河ドラマに出るのも初めてですし、もちろん徳川家康公を演じさせていただくことも初めてなので、右も左も分からないという中で、不安なことも多々あったんですが、実際に現場に入って、皆さんと一緒にお芝居をさせていただくと、非常に充実した時間ですし、何より毎日楽しく、笑いが絶えない現場で過ごせているのを本当にうれしく思っています」と感想を伝える。

演じる家康に関しては「最初は、か弱いプリンスというか、何の力もない人物が天下を取る人物にどう変わっていくのを描けたらと、古沢さんがおっしゃっていたんですが、若いですし力もない。家臣も小さな国なので頼りない。その中でも特にか弱い、幼い人物がスタートラインであった方が面白いんじゃないかと話し合いました。その上で、殺陣のアクションシーンでは、わざと弱くやっているのではなく、戦い方を知らないとか、やろうとしているがうまくいかないみたいな、ヌケ感が悪い、憤っている感じをうまく表現できたらなと思ってやっています」と演技プランを打ち明ける。

そして、「その分、山田くんがかっこいいシーンをやってくれるんで」と山田に水を向けると、「頑張ります……」と恐縮した様子を見せた山田だが、最初の登場シーンから「カッコよかったよ」と松本に褒められ、「砂浜を馬でかけるシーンからのクランクインでかなり緊張しましたけど…あまり話しちゃだめですよね。お楽しみに」と期待をもたせた。

松本の演技について、大森は「お芝居が素晴らしい。何だったら心から引っ張っていっていただいている。振り切った、今まで見たことのない松本潤を最前線で見られているので、皆さんもご期待ください」と絶賛。

松重も「残念ながら、ここ3日間で撮っている間では、圧倒的な指導力、統率力もカリスマ性もまだみじんも見えてこない(笑)。『大丈夫かな?』と思うような、周りがなんとかしてあげたくなる魅力あふれる家康が今、まさに生まれつつありますね。そこから家臣団と一緒になって、どういう風な天下一の武将になるか。まだまだ、最初は本当に『この人、大丈夫かな?』というところがいっぱいあって、そこが非常に魅力です」と率直な感想を述べた。

山田は「素晴らしいキャストの皆さんと一緒に並んでいるのをモニターで見ると自分がちっぽけに感じたというか、最強の武将でなければならないのに、大丈夫かなと思いつつ、家臣団の中でも一番年下の設定なので、初々しさと成長する姿を見せていけたら、戦国最強の侍になれるのかな。俳優としてもかなり成長できる作品になると思います」と演技巧者の先輩たちに囲まれながら、役柄と向き合っていることを報告。

また、松本と山田は偶然同じ日に、岡崎城を訪れていたそうで、「もう運命の糸はつながっているんだなと思った」とすてきなエピソードを明かし、松本が演じる家康を「殿の揺れ動いている表情がすごく魅力的。芝居が終わった後にモニターを見ると、殿の迷っている表情、おびえている顔にすごく引き込まれて。生でお芝居をしている時にも感じる。『どうする』の表情というか…いろんな思いがあって、揺れ動いている、けど何か前に進まなきゃっていう松本さんの表情が魅力的で、それがドラマの見どころになるんじゃないかな。見たことのない家康、見たことのない松潤さんになっている」と表し、称賛した。松本は「あれ、別に『どうする』の顔ではないからね」とうれしそうに笑っていた。

さらに、山田は出身地である愛知県での撮影ということで、「愛知っていうのは僕の家があるという感覚で、愛知でお仕事をするのは不思議な感覚。東京が戦場だと思っていて、名古屋から出てきて、東京で頑張っていこうと思ってやっていたので。愛知は帰って休む場所と思っていましたが、いい意味でここでも頑張ろうと高ぶっています」と意欲を見せた。

演じる家康の見どころを、松本は「徳川家康が天下を取るっていうことは決まっているストーリーだと思うんですね。でも、本当にこいつが取るのか?というような始まり方をしてますし、成長の過程がすごく鮮やかに描かれるんだと思うので、そこをバランスよくというか、アップダウンをかなりつけて演じられたらと思っていて。そういう意味では、今ヒーローって何でもできて完璧な人より、ちょっとおっちょこちょいっていうか、何か抜けてるところがある人の方が、みんなに愛されるという人もいると思うので、そういうのが今っぽいとするならば、非常に今っぽいアプローチなんじゃないかな。そんな頼りない家康ですが、大人になって、少し姑息っていうか、ちょっとずる汚いことも含めてどういうふうに天下を取って、成長していくのかっていうのが、人間ドラマとしては見どころになるんじゃないかなと思ってます」とアピールした。

出演者の登壇に先立って登場した磯氏は、古沢氏の希望で徳川家康が題材に決まったことを明かし、奇をてらったようにも見えるタイトルについては、「どうする家康」というフレーズを古沢氏がよく発言していたことから、制作側から提案したそう。当初古沢氏は「ふざけすぎでは?」と難色を示したそうだが、「古沢さんが新しい視点で家康を書くのであれば、『どうする家康』ぐらいの、ある意味尖ったというか、変わったタイトルでもいいのではないか」と感じたそうで、「古沢さんの波瀾万丈で、今の人たちが共感できる物語を作りたいという思いには、一番ふさわしいタイトルだと思う」と力を込めた。

松本の起用については、「今回の家康のイメージは、情けないプリンス。意見がぶれて周囲にたしなめられることもあるけど、品やプライドがあって、光が当たっているような人物であるということを考えた時に、気品も持ちながら弱い部分もある姿を表現してくれるだろう」という期待を持ってオファーしたことを伝えた。

加えて、実際に現場で松本の演技に触れ、「松本さんが持っているエンターテイナーとしての才能みたいなものが感じられて、松本さんの芝居をスタッフ一同ワクワクしながら笑いながら見ている」と現場の雰囲気は高まっている様子で、「おこがましいですけども(松本の)集大成というか、まだ撮影しているのは松平元康の時代なんで、20歳前後ですけども、若い頃の松本さんを感じさせるようなところもあるし、落ち着いたたたずまいもあれば、やんちゃなところもある。これまでいろんなドラマで見てきた松本さんのお芝居が集約されてるような大河になるのかなと思う」と語った。

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