横浜港大さん橋、リニューアルから20周年 映画、ウエディング…新たな演出の場に

フィナーレを飾った花火を背景に手を上げるトム・クルーズさん(左)とプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーさん=5月24日、横浜港大さん橋国際客船ターミナル

 今年、リニューアルから20周年を迎えた横浜市中区の横浜港大さん橋国際客船ターミナル。5月下旬には米ハリウッドスターのトム・クルーズさんが映画のプロモーションで登場するなど、新たな演出の場としても注目を集めている。「毎日来たくなるような場所」を目指し、さまざまな取り組みも始まった。

 大さん橋に敷かれた93メートルのレッドカーペットに登場し、ファンと交流。フィナーレでは“トムがプレゼントした”150発の花火が夜空を彩った。当日夜、翌日には「トム・クルーズが横浜の港で花火を堪能」などの見出しとともに映像や写真がメディアに多数掲載された。

 市シティプロモーション推進室の林豪さんは「カンヌ、ロンドンなどに続くPRの場として選ばれて光栄。みなとみらいの街の露出も多く、都市ブランドの向上につながった」と喜ぶ。

 ケーブルテレビ大手のJ:COMでは大さん橋の屋上をスタジオにし、4月から試験的に月曜午前10時から約30分間、ニュースを生放送している。馬車道チーム拠点長の出貝仁洋さんは「天気などライブ感を盛り込んだ番組を伝えることができている。みなとみらいや大さん橋の景観も楽しんでもらえる」と話す。

 6月2日に開催された横浜開港祭の前には、主催者をゲストに迎え、事前に内容を紹介した。「準備が進む会場の臨港パーク(西区)を眺めながら、より臨場感ある放送を届けられた」と手応えを感じている。7月は高校野球期間中で中断となるが、8月から再開の予定。

 ウエディング撮影は今年も好調だ。2021年度は20年度の1.5倍にあたる約2千組が撮影した。22年度も6月末現在、前年度比1.2倍で推移する。大さん橋国際客船ターミナルの岩田秀夫館長は「近隣の水際にある施設や他エリアの港湾施設と比べて高低差がある構造なので、さまざまな場面の写真が撮れるのが人気のようだ。若い世代にも何度も来てもらえるような施設を目指していきたい」と話す。

 今年4月からは、館内入り口床からフレグランス(香り)を放つ取り組みも始めた。すでに中学生や家族連れ向けに行っているバッグヤードの見学ツアーも本格的に開始した。

 訪日外国人客向けに設置された四季庭園は四季ごとに装飾を変更し、庭へ自由に入り記念撮影ができるようにした。庭園の石畳を歩いて楽しむ子どもたちの姿も見られる。現在は庭園近くに七夕飾りと短冊が置かれており、来場者が願い事を笹(ささ)に飾り付けている。

 8月にはリニューアル20周年を記念したパネル展も予定している。岩田館長は「周辺施設とも連携して、大さん橋のファンを増やしていきたい」と話している。

© 株式会社神奈川新聞社