結婚が決まった26歳女性「奨学金516万を、子どもが生まれるまでに返したい」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、26歳、会社員の女性。結婚が決まり、子どもを希望する相談者。子どもができるまでに奨学金516万円を返済したいと考えていますが、どのような返済プランを立てればよいでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。


今年結婚することになり、子どもが出来るまでに(可能であれば30歳になるまでのあと4年で)奨学金516万円を繰上げ返済したいと考えております。パートナーは幸い奨学金を借りておらず、結婚後に貯蓄した金額はすべて奨学金返済に充てていいと言ってくれています。なお、パートナーの収入は月収22万、ボーナス年120万円です。

今まで少しずつ貯金しておりましたが、何度か引っ越しをした事と、学生時代に両親に借りたお金の返済に充てたため、まとまった貯金が出来ておりません。また、今貯めている分は両家顔合わせ食事会(総額25万円、折半)と、来年に予定しているフォトウェディング(総額30万円、折半)に充てる予定です。

どうかお力添えいただけますと幸いです。

【奨学金の状況】

第二種奨学金:残債316万7,164円(貸与総額384万円、利率0.27%、返済期間20年)

教育貸付:残債194万4,679円(300万円、利率(年利)2.35%)

【相談者プロフィール】

・女性、26歳、会社員

・夫(2022年11月入籍予定)、27歳、会社員(月収22万、ボーナス年120万円)

・住居の形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:22万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:60万円

・毎月の世帯の支出の目安:18万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:7万8,000円

・食費:2万円

・水道光熱費:5,000円

・保険料:2,580円

・通信費:1,000円

・お小遣い:2万5,000円

・その他:奨学金返済8,228円(ボーナス月は5万7,609円)、教育貸付返済2万6,000円 歯科矯正の医療ローン(2022年10月まで)4,500円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:4万5,000円

・つみたてNISA月 5,000円

・財形貯蓄月 3,000円

・ボーナスからの年間貯蓄額:20万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):20万円

・現在の投資総額:16万円

・現在の負債総額:516万円

飯田:今回は、今年、結婚を予定している26歳の相談者様です。奨学金の返済として516万円の負債を抱えており、可能であれば30歳までに繰り上げ返済をしたいとのことです。今ある預貯金は結婚資金となってしまうようですので、ほぼ、預貯金0円からの返済となります。相談者様の場合、どのように繰り上げ返済に取り組んでいけば良いのか、考えてみましょう。

自分の使える金額を改めて確認しましょう

パートナーの方が、貯めたお金をすべて奨学金へ回しても良いと仰っているとのこと。優しい方で良かったですね。とはいえ、不明確な部分が多いため、不明な部分を明確にしていくことが必要です。

現在の手取りは22万円、ボーナスは60万円になっています。その中で、結婚後にも支出するお金は、保険料2,580円、お小遣い2万5,000円、毎月の貯蓄額4万5,000円、つみたてNISA 5,000円、財形貯蓄 3,000円です。その他に奨学金8,228円(ボーナス月は5万7,609円)、教育貸付2万6,000円となっています。

ここで取り上げている支出の合計金額計は、月額11万4,808円、ボーナス月は16万4,189円となっています。

2022年11月に入籍予定とのことですが、その後の家賃や生活費などは、どちらがどのように負担するのか、決まっているのでしょうか? もし、決めていない場合は、いくら繰り上げ返済に回せるのかを判断するためにも、どちらがどれくらい負担するのかを明確にすることが必要です。

現状の貯蓄ベースでは、どうなる?

毎月の貯蓄額の合計金額は5万3,000円。ボーナスからの預貯金額は20万円ですので、年間貯蓄額は83万6,000円となります。単純に4年間で334万4,000円となりますので、約180万円、足りない計算になります。

ただし、つみたてNISAは税制優遇もあるため、こちらは返済資金にせず、積み立てしていくほうが良いでしょう。その場合は、つみたてNISAの4年分の24万円は返済資金に含みませんので、310万4,000円(年間77万6,000円)を返済資金に回すことが可能になります。不足分は、206万円となります。

ただし、これはあくまでも生活費の負担が、今と変わらない場合となりますので、注意してください。

返済額が増やせる場合は、どうなる?

反対に、今よりも生活費の負担額が減れば、その分、返済資金に回すことが可能になります。

たとえば、現在、生活費として負担している約10万円を返済に回すことができれば、年間で120万円、上乗せして返済することができます。その場合の年間返済額は197万6,000円になりますので、2年と半年を待たずに、完済することが可能になります。

現在の生活費として負担している半額の約5万円を返済に回すことができる場合には、年間で60万円、上乗せして返済することができます。その場合の年間返済額は137万6,000円となります。この場合でも、4年以内に完済することは可能です。

出産をするにもお金もかかります。(加入していなければ)妊娠前に女性疾病特約に加入しておいたほうが良いですし、お金の支出内容も変わってきます。夫婦あわせて将来に備えて貯蓄をすることも、考えておきたいところです。

パートナーの方も理解があるようですので、まずは家計全体で奨学金などの借入の返済に対応していくと、良いでしょう。

効率のいい返済方法は?

基本的には、金利が高い借り入れを中心に返済した方がメリットはあるのですが、相談者様の場合、奨学金の残債は、年利0.27%で316万7,164円。教育貸付の残債は、年利2.35%で194万4,679円となっています。

このような場合、まずは奨学金の返済の方から繰り上げ返済を行い、残債が同じくらいになってきたときには、教育貸付を中心に繰り上げ返済をしていくのがおすすめです。

パートナーとじっくり話し合ってみましょう

頂いた支出の内訳が相談者様のみだったため、仮定でのアドバイスとなってしまいました。ただ、パートナーの方の年収は384万円、400万円近くありますので、夫婦二人で生活していくのは充分に可能です。

結婚の準備でいろいろと忙しいとは思いますが、夫婦のライフプランとして、奨学金などの返済計画を取り込んで欲しいと思います。

お子さんができるまでの4年で516万円を完済することを考えると、相談者様の収入のほとんどを返済に回さなくてはなりません。新居などが決まっていないなら、できるだけ支出が抑えられるような物件を選ぶようにすると良いですね。

入籍まで半年を切りました。それまでに二人が思い描くライフプランを話し合って、スムーズに新生活がスタートできるよう、準備してください。本当におめでとうございます。

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