山口が投打に大車輪 4月9日・ヤクルト戦

ヤクルト000 100 400|5000 530 20X|10横浜DeNA【フルマーク】待望の“球”到来【フルマーク】待望の“球”到来 横浜に欠かせない男はファンが待ち望んだ春を引き連れて帰ってきた。

 けがで開幕投手の大役を回避した山口が今季初先発で七回途中まで10安打5失点。引き分けをはさんだチームの連敗を「5」で止めた右腕は試合後のお立ち台でおどける。「次は投げる方でここに立ちたいです」 その座を勝ち取ったのは「好き」と自称する打撃だ。2点リードの四回2死一塁。真ん中のカットボールを「1、2、3で振ったら、たまたま当たった」。プロ2本目のアーチを左翼席上段へ突き刺し、自らを援護。ラミレス監督も「あの一発が流れをつくった」と褒めちぎった。

 本職の投球でも土俵際の踏ん張りで流れを渡さない。本塁打を放った直後の五回、2四死球と内野安打で1死満塁としたが山田、畠山を凡退に仕留めた。六回まで失点はソロ本塁打の1点のみ。テンポの良い投球で今季最多となる先発全員の14安打、5本塁打、10得点の打線の波を引き寄せた。

 連勝すれば今季初のカード勝ち越し。生え抜き11年目の選手会長は声を高くして、「今日は打線に助けてもらった。これを機に自分も乗って、先発と切磋琢磨(せっさたくま)していいゲームをつくっていきたい」。反撃ののろしを高らかに掲げた。ラミちゃん☆ゲッツラミちゃん☆ゲッツ 「山口が帰ってきたときに勝てて本当にうれしい。チームにとってこれがターニングポイントになると信じている」ロペスお目覚め3連発ロペスお目覚め3連発 眠れる助っ人がついに目覚めた。前日まで本塁打、打点ともゼロで、打率1割台だったロペスが球団では2008年9月の村田(現巨人)以来となる3打席連続本塁打で6打点の大暴れだった。

 今季初の5番に座り、1−1の四回無死一塁で内角低めのスライダーを腕を畳んですくい上げ、5−1の五回1死一、二塁では外角の直球、先頭の七回も真ん中に入った変化球を逃さなかった。いずれもレフト方向へ舞い上がる「らしさ」あふれるアーチを架けた。

 盛大に鬱憤(うっぷん)を晴らし、「ホームランは狙わずボールを捉えることを意識した。打ててうれしい」と相好を崩した。

 試合前練習のティー打撃ではむやみに振らず、ボールの下半分をこすって高さ約3メートルの防球ネットを越すような弧を描く打球を意識して打ち込んできた。「今までもこの練習を続けることで打ってきた」と言うように米大リーグ・マリナーズ時代にも2010年シーズンに3打席連続アーチを架けた。打撃フォームも日々修正するなど努力を怠らない背番号2は「ここからもっと打っていきたい」と上機嫌だった。井手が昇格即アーチ井手が昇格即アーチ この日昇格したばかりの井手が「3番・右翼」で先発し、首脳陣の期待に一振りで応えた。

 先頭の四回、1点を追う場面で左腕石川が投じた2球目を迷わず振り抜いた。今季初安打を左中間に運ぶ同点ソロとし、「打った自分でもびっくり」と驚きを隠さない。

 大量得点の口火を切る一発に右の好打者は「一本が出てとにかくほっとしている」とさらなるアーチを予感させた。選手ひと言選手ひと言 石川(六回に今季初安打となる二塁打を放ち)打撃の感覚は悪くない。次の試合につなげるために、ここから状態を上げていきたい。

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