キャンプの「今」を探るべく、いくつかのキテますワードをピックアップして解説するこのシリーズ。第一回は、「異業種参入」というワードに注目。キャンプブームによる新しいブランドや異業種からのアウトドア業界への参入に着目しました。※本記事は2021年9月8日に発売された「fam_mag Autumn Issue 2021」の特集企画に加筆・修正を加え再構成したものです。
アウトドア情報発信Webメディア「ハピキャン」事業プロデューサーに聞いた!
名古屋テレビ放送とWebを連動させた複合型メディア「ハピキャン」の事業プロデューサーである大西真裕さんからお話しをお聞きしました!
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ここ数年飛躍的に増えているのが「異業種」のキャンプ業界への参入。大きく分けると、参入方法には「コラボ型」・「リパッケージ型」・「ファクトリー型」の3種類です。
ここからは、3種類の参入方法を詳しくお伝えします。
「コラボ型」は互いの経験を生かす!
「コラボ型」は、ブランド力を持っている企業とアウトドアメーカーがタッグを組み、互いのブランド力を高めながら付加価値のある製品を生み出すこと。
異業種企業とタッグを組むことで、お互いが培ってきた技術を使い、他社が真似できないようなアイテムを開発・販売することができます。
今までは人気ブランド同士のコラボが多かったのですが、異業種企業側の技術力や特徴をうまく生かしたアウトドア用品にも注目が集まっています。
コラボ型の例1:ノルディスク×カイハラ『アスガルド 7.1 デニム』
『アスガルド7.1 デニム』は、100年以上の歴史を持つ広島県のデニムメーカー・カイハラとノルディスクがコラボした製品。
TCコットンを染めて、デニム特有の素材感を再現しているスペシャルなテントです。
コラボ型の例2:DOD×ユニバーサルホーム『キャンパーの住みか』
注文住宅メーカーのユニバーサルホームは、アウトドアブランドのDODとコラボし、キャンパーのニーズに特化した住宅『キャンパーの住みか』を開発。
キャンプギアのメンテナンスやキャンプの準備がしやすいアトリエ空間、ギアを日常使いできる工夫、見せる収納が特徴の住宅です。
すでにあるものをアレンジして提供する「リパッケージ型」
「リパッケージ型」は、これまでアウトドアと接点がなかった異業種メーカーが、既存の自社製品をアウトドア用に最適化して打ち出す方法です。
カッターナイフで有名なメーカー『オルファ』が、アウトドア用のナイフシリーズを展開しているのが代表的な例。大規模にアウトドア業界へ打って出ようとする勢力も増加中です。
リパッケージ型の例1:ヤマト『アウトドアテープ』
『アウトドアテープ』は、文具メーカーであるヤマトが持つ接着剤や接着テープの技術を用いたテープ。携帯性の高さに優れ、手で切れる使いやすさ、強い接着力が魅力です。
テントやタープ、シューズなどの一時補修にも利用でき、ゴミ袋の固定にも力を発揮してくれます。
リパッケージ型の例2:オルファワークス『アウトドアナイフ サンガ』
こちらは、高品質なカッターを生み出し続けるオルファがその技術を惜しみなく投入して作り上げた『アウトドアナイフ サンガ』です。
職人が研ぎ上げた3.2mmの頑強な刃は、バドニングにも耐えるほど。背の部分はファイヤースターターとしても使用できます。
リパッケージ型の例3:岡山パールライス『キャンプライス』
岡山県産あきたこまちの無洗米を使用し、扱いやすく省スペースを意識して作られた『キャンプライス』は、150g(約1合)ずつにパッケージングされているので、ソロキャンプにもピッタリ。
また、スタイリッシュなデザインのパッケージは、米を取り出したのち、計量カップとしても使えるのが◎!
「ファクトリー型」は技術の事業化を目指している
参入方法の中でも最も大がかりな方法が「ファクトリー型」です。
アウトドアとは関係のないプロダクトを製造していたメーカーが、自社技術を利用してアウトドア用品を作りはじめるのですが、最終的には本業とは別の製造ラインを立ち上げたり、アウトドア関連の事業に特化した別会社を設立する企業も増えています。
ファクトリー型の例1:ジ アイアン フィールドギア『タキビーキャン』
造船・建築業を営む企業が生み出したスタイリッシュな薪ストーブ『タキビーキャン』。
上昇気流を生み出しやすい二重構造の煙突を採用しているため、手軽に着火が可能。ダッチオーブン料理はもちろん、ピザ焼きにも対応してくれるのが魅力です。
ファクトリー型の例2:リングスター『Starke-R バスケット』
木箱から始まり、スチール製工具箱製造のトップランナーになった箱作りのプロ企業『リングスター』。
老舗の手により作られるプラスチック製バスケットは、軽さ・容量・耐久性ともに申し分なし!
ファクトリー型の例3:乗富鉄工所『スライドゴトク レギュラーフット』
福岡県最大の水門メーカーであり、建機パーツなどを手がける乗富鉄工所が生み出したのは、本体をスライドさせてサイズを変えられるゴトク『スライドゴトク レギュラーフット』です。
鉄鋼職人の丁寧な技が生み出す頑強さが特徴。
大手企業・メーカーによるキャンプ業界参入の例はこちらにも!
実際に大企業やメーカーがキャンプ業界に参入したそのほかの例をご紹介します。
テレビ局×Webメディア「ハピキャン」
多くの人にとって馴染み深いメディアともいえるテレビ局が展開したのは、キャンプに特化したWebメディア『ハピキャン』。キャンプ関連のテレビ番組を放送し、テレビを視聴した人の中で興味を持った人をサイトに呼び込みます。
自動車ディーラー×アウトドアショップ「グッドオープンエアズ マイクス」
自動車ディーラーである神奈川トヨタが運営しているのが、キャンプギアをはじめフィッシングやMTBなどのグッズを取り揃えるショップ『グッドオープンエアズ マイクス』です。
ショップを立ち上げた目的は、モビリティライフをより充実させるための「遊び」をサポートすることなのだそう。
アパレル会社×キャンプ場「タイニーガーデン蓼科」
都市での日常と自然がリンクしたライフスタイルを提案する場所として、セレクトショップのアーバンリサーチが立ち上げたキャンプ場『タイニーガーデン蓼科』。
テントサイトやロッジ、キャビンのほか、場内に同ショップのアウトドアブランド「エカル」のショップも展開しています。
キャンプカルチャーを一気に変貌させるような異業種の参入にも期待!
キャンプの「今」を探るべく、いくつかの“キテるワード”をピックアップして解説する「キテますワード」シリーズ第一弾として、「異業種参入」に着目しました。
これまでアウトドア業界になかった発想や技術がどんどん持ち込まれ、キャンプに興味のなかった人が新アイテムや新サービスをきっかけにその楽しさに目覚める、なんてこともあるかもしれませんね。
キャンプカルチャーを一気に変貌させるような異業種の参入にも期待が膨らむばかり。これからの異業種参入も、まだまだ目が離せません!