出産後の声に違和感も…アナウンサーと子育ての「二刀流」で奮闘中 福井放送の東海佳奈子さん

キャスターに復帰し、子育てとの二刀流をこなす東海佳奈子さん=福井県福井市大和田2丁目の福井放送

 出産後、自分の声に違和感を覚えた。出にくくなったり、ガラガラ声に感じたり…。不安を隠しきれなかったが「ありのままの自分を受け入れ、ベストを尽くそう」。福井放送の記者兼アナウンサー東海佳奈子さん(38)=富山県富山市出身、福井県越前市=は発声練習を行った後、平然とニュースを読み上げた。

 声はアナウンサーの大事な武器。状況によって声質を使い分け、情報を正しく聞き取りやすく伝えなければならない。喉を鍛え親しみやすい声になるよう、毎日練習を重ねる。東海さんのボイストレーニングは子どもへの絵本の読み聞かせ。登場人物になりきり喜怒哀楽を意識して音読したところ「子どもが興味津々で聞いてくれて、表現の幅もぐんと広がりました」。

 ママ視点でニュースを考えることも増えた。新型コロナウイルスの影響で子どもも日常的にマスクを着用する中、「発育に影響がないのかな」と疑問に思い、専門家に取材。原稿にまとめて報道した。

 重い病気と闘う県内の男児に対しては「力になりたい」と約10年間取材を続け、ナレーションも担当した。放送をきっかけに支援を申し出る人が現れ「つらい思いをしている人に注目し、課題を発信する報道の使命を感じました」。

 大学生のときにテレビ番組に出演した際、カメラマンやディレクターらが一つの作品を生放送で一気に作り上げる一体感に魅力を感じた。2008年に入社後、現場で取材し原稿を執筆したり、カメラを手に撮影したりするなどの業務をこなしている。

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 今年から、毎週固定の枠でニュースを読むキャスターに6年ぶりに復帰、子育てとの二刀流をこなす。緊張感を抑え、分かりやすく伝えられるよう「ずしっと責任を感じますね」。明るい色のスーツに身を包み、落ち着いた表情でスタジオに向かった。

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