横浜DeNA主砲の牧、6月以降は下降線で試練 「今は我慢です」

悔しそうな表情を見せる牧=6月26日、横浜

 順風満帆に突き進んできた背番号2が苦しんでいる。横浜DeNAの牧秀悟内野手(24)は開幕から2年目のジンクスとは無縁のバッティングを披露してきたが、6月以降は一転して下降線をたどる。チームの浮沈を握る主砲が試練の時期を迎えている。

 「今は我慢です、我慢」。打撃練習中にそう口を開くなど、置かれた立場を理解している。

 7月2日のヤクルト戦(神宮)。1─1の九回2死一塁、一発が期待される場面で懐をえぐられた。149キロの内角直球をファウルにし、2球目の変化球をカットすると、最後は外角低めのストレートに手が出なかった。

 5月には自身2度目の月間MVPに輝き、一時は打率3割4分6厘をマーク。チームの屋台骨を支えてきたが、他球団の警戒が強まる上、開幕から「4番・二塁」でプレーする疲労も重なってスタイルが崩れてきた。

 広角に打ち分ける本来の良さが影を潜めている。6月は全18安打のうち左方向へは4本、月間打率2割7厘と低迷した。チーム関係者は「ずっと内角を攻められると始動が早くなって体が開く。これまでは下半身の強さで体重を残せたが、体力的に粘れなくなり外角のボール球に手を出すようになった」と指摘する。

 ただ、首脳陣の信頼は揺るがない。「鋭い打球が正面を突いて紙一重の部分が大きい」と鈴木打撃コーチ。三浦監督も「やり過ぎるぐらい練習もしている。だから休ませるというのも考えの一つにある」と冷静に状態を見極めている。

 7月3日のヤクルト戦(神宮)では復調の兆しも見せた。6試合ぶりに複数安打を放ち、30打席ぶりに打点も記録。本紙評論家の高木由一氏は言う。「超一流打者になる選手にとって、誰もが通る道。心と体の重圧に打ち勝って、一段と大きくなってほしい」

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