参院選女性候補者増に歓迎の声 家庭の考え方変容

 10日投開票の参院選で、栃木選挙区(改選数1)の立候補者6人のうち女性が過去最多の5人に上ったことについて、女性の政治参加を訴えてきた関係者は「喜ばしい」と歓迎した。「女性は家庭」といった考え方が変わりつつあることや、野党の選挙戦略を背景として指摘。今回だけの一過性のものにしてはいけないとの危機感も抱く。「まずは質より数」と、性別を基準に候補者や議席の一定比率を割り当てる「クオータ制」を訴える声もあった。

 県女性団体連絡協議会の梅沢啓子(うめざわけいこ)会長(74)は、女性の出馬を阻んできた要因の一つを「ジェンダーバイアス(思い込み)」とみる。近年、男性の家事、育児の分担が進むなどし、「『女性は家のことをやる』という壁が崩れつつある」と喜ぶ。

 女性の候補者増を「今回限りで終わらせず、全国で女性議員が増えないと状況は変わらない」と注文を付けた。

 「現職候補が女性なので、女性候補を当ててきているのでは」。県内初の女性首長となった野木町の真瀬宏子(ませひろこ)町長(76)は、野党の選挙戦略をそう分析する。

 女性が出産や育児、介護などを通じて日常生活の課題に気がつくことも多いとし、「女性政治家がもっといていいはず」と話す。

 栃木選挙区では5月、野党の男性参院議員が所属政党の候補者について「顔で選んでくれれば1番を取るのは決まっている」と容姿を取り上げる発言をした。真瀬町長はこうした発言に批判的な見方を示した上で、「女性としての魅力も候補者の要素の一つだが、政策を基軸に選んでほしい」と呼びかける。

 2000年の衆院選で、民主党(当時)新人として自民党現職の男性候補を破った元衆院議員の精神科医水島広子(みずしまひろこ)さん(54)は、「クオータ制」の導入を主張する。女性議員が少ない現状を変えることを優先し、「まずは質より数」と強調する。

 閣僚など主要ポストに就く女性の少なさを指摘し、「女性議員の数を増やしつつ、次は意思決定の場に送る活動が必要だ」と力説した。

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