砂糖不使用の低糖質プリン 開発したのは1型糖尿病の洋菓子店主 家族で初めてのケーキ「一緒に食べるとおいしいね」子どもの一言が忘れられず インスリン注射を打って作り続ける

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パティスリールヴェールの高谷浩史店長=鹿児島市広木3丁目

■低糖質プリンが「おもてなしセレクション」で金賞受賞 髙谷浩史(たかや・ひろし)さん(49)

 砂糖は使わず、糖質は5グラム以下。それでも、なめらかな口溶けと豊かな甘さがある。開発した低糖質のプリンが、日本在住の外国人が優れた商品を発掘する「おもてなしセレクション」で金賞に輝いた。「自分のように気軽に甘い物を食べられない人にも、食べる喜びを感じてほしい」との思いが込もる。

 香川県出身。21歳の時、血糖値を下げるインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病と診断された。病気を理由に内々定が取り消され、やっと就いた仕事も長くは続けられなかった。

 そんな時、出会った同い年の料理人に紹介され、福岡のホテルでデザートを担当する。スイーツの魅力を知り、2013年に妻みどりさん(43)の出身地である鹿児島市に洋菓子店「パティスリールヴェール」(広木3丁目)を開店。試食するにもインスリン注射を打って糖質管理をする困難を乗り越え、作り続けている。

 低糖質商品の開発は客に頼まれたのがきっかけ。試行錯誤を重ね、小麦粉も砂糖も使わないケーキが完成した。自身にとっても、家族全員で一つのケーキを食べるのは初の経験。「子どもの『一緒に食べるとおいしいね』の一言が忘れられない」

 店には低糖質の商品が徐々に増え、今はアイスクリームなど約60種類に。「食べられずに悩んでいる人の最後のとりでになることもある。『夢をかなえてくれる』と言われるケーキ屋さんになる」と力を込める。

 店は妻と共に経営する。趣味はゴルフと神社仏閣巡り。49歳。

「おもてなしセレクション」で金賞に輝いた低糖質のプリン。二層仕立ての商品もあり見た目も楽しめる(パティスリールヴェール提供)