箱根山噴火から7年 噴火予知連「火山灰など噴出に注意」

大涌谷で行われた火山ガスの定点調査=4日(東海大理学部大場武研究室提供)

 国の火山噴火予知連絡会(会長・清水洋九州大名誉教授)は5日、観測史上初の噴火から7年が経過した箱根山(箱根町)の状況について、「大涌谷では活発な噴気活動が続いている。火山灰などの突発的な噴出に注意が必要」との見解をまとめた。

 気象庁の観測では、最近の地震活動は低調で、火山活動によるとみられる地殻変動も確認されていない。同庁が運用する5段階の噴火警戒レベルは、最低の1(活火山であることに留意)が続いている。

 また、大涌谷で4日に火山ガスの成分を調べた東海大の大場武教授も「火山活動は落ち着いた状態が続いている」と分析。ただ、「数年に一度は活発化することがある。引き続き注意が必要」とも指摘した。

 箱根山の大涌谷では2015年6月29日にごく小規模な噴火が発生。人的被害はなかったが、火山灰が周辺エリアに飛散し、気象庁は噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げた。その後、火山活動は低下したが、19年5月にも地震が急増するなどしたため、警戒レベルは約4カ月半にわたって2(火口周辺規制)に引き上げられた。

 21年夏ごろにも山体の膨張を示唆する地殻変動が観測されたものの、これまでのところ、地震の増加など活動の活発化には至っていない。

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