〈動画あり〉「離岸流」に注意を シーズン前に実態調査 なおえつ海水浴場

 岸から沖へと向かう潮の流れ「離岸流」の調査が5日、上越市のなおえつ海水浴場で行われた。第九管区海上保安本部と上越海上保安署、長岡技術科学大が参加し、海水浴シーズンを前に、離岸流の実態を調査して注意を呼び掛けた。

海面に広がった着色剤をドローンで上空から観察。すでに海水浴やボートを楽しむ人もいて、本格的な海水浴シーズンを前に注意を呼び掛けた

 県内海水浴場で例年実施している調査で、同海水浴場では平成28年以来。「離岸流」は海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする流れで、砂浜、川の河口などで発生し、波が高いほど速くなる。気付かずに沖へ流されるなど、海水浴中の死亡事故につながることもあり、調査を通じて注意を呼び掛けている。
 同日は、海岸付近の2カ所から着色剤を放流し、ドローンで観察。ほぼ波がなく海面は穏やかだったが、放流から4分で流れの先端が沖へと向かい、10分でさらに沖へと流れた。この日の流れの速さは毎秒0・1メートルと、「ゆっくりだが少し危険な流れ」とした。
 調査を行った長岡技術科学大の犬飼直之准教授によると、海水浴が可能な0・5メートルほどの波でも、流れの速さは毎秒0・4メートルと、大人が立ち泳ぎで陸に戻れないほどだという。「離岸流に巻き込まれたら、流れのない岸と並行に泳いで脱出するのも有効だが、慌てず浮かんで救助を待って」と呼び掛けた。
 上越海保によると同海水浴場では昨年、海水浴客が沖に流されて戻れなくなる案件が2件発生した(いずれも無事)。畠山正弘次長は「離岸流はどこでも起きる可能性がある。海水浴場では幼い子どもから目を離さず、決められた範囲とルールを守って楽しんでほしい」と話した。調査結果は今後、第九管区海上保安本部のホームページで公表される。

着色剤放流から5分後の様子。一部が沖(写真上)に向かって流されているのが分かる(長岡技術科学大提供)

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離岸流調査の動画

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