復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉7 月6日「那覇署、公安偏重で刑事警察弱体化」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 日本「復帰」直後の1972年7月6日の琉球新報1面トップは、「田中内閣、きょうにも発足/福田派処遇が焦点/『強力な布陣』を基本に/官房長官、二階堂氏か」との見出しで、自民党の田中角栄総裁誕生で新内閣発足に向けた予告記事を掲載している。関連で「党人事/きょう決めたい/田中新総裁初会見/1年内に総選挙考慮」との見出しで、田中総裁の党内委人事や外交姿勢、なかでも日中問題への対応などについて触れている。さらに別の記事では「長谷川峻氏のうわさ/流動的な新総務長官候補」と総務長官人事の見立ても載せている。
 県内ニュースでは、左肩に大きく6段を抜いて「那覇署、公安偏重で刑事警察弱体化/異例の県警本部具申/凶悪事件捜査に支障」との見出しで、未解決の凶悪事件を抱える那覇署が公安事件特別捜査に捜査員と機動隊が人員にとられ、刑事警察の充実を図るべきだと県警本部長に文書で異例の申し入れをしたとの記事を掲載している。
 このほか「日本語を第2外国語に/朴大統領、教科採用で指示」と、韓国の朴正煕大統領の指示を伝えている。またベトナム戦争の関連では「ハノイ全域爆撃/ハノイ放送/住民地区で多数殺傷」と米軍による激しい爆撃が行われたことを紹介している。
 
 
 
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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。  

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