<金口木舌>非常時こそ公衆電話

 子どもの頃、外出先から自宅へ連絡する際に、公衆電話を利用した。テレホンカードや10円玉を入れ、暗記している電話番号を入力したのを思い出す

▼その公衆電話は近年、街中でも見かけることが少なくなった。県内では1998年度に6940台あったが、今年3月末時点では1883台。20年余で約7割の5千台が撤去された。スマートフォン、携帯電話が普及する中で利用者が減ったことなどが背景にある

▼今では公衆電話の使い方が分からない子どもたちが多いという。NTT東日本が2017年に実施した調査では公衆電話を使ったことがない小学生が84.3%に上った

▼今年4月には国の設置基準が緩和され、さらに減る見通しの公衆電話だが、スマホの通信が困難な状況下では代替手段になる。KDDIの通信障害が発生した2日、沖縄セルラー電話は緊急時には公衆電話や固定電話を使用するよう呼びかけた

▼災害時には家族に伝言を残せる災害用伝言ダイヤルなども利用できる。非常時に有効な公衆電話の役割を改めて見直したい。

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