【参院選2022「足元から」】コロナ禍、困窮するひとり親世帯「給付金はその場しのぎ」

シングルマザーとして窮状を訴える横須賀市の女性(右)

 「ごめんね」。川崎市在住の派遣社員の女性(42)はスーパーで品定めするたび、胸の内でつぶやく。

 「お肉がいい」。中学1年と小学5年、食べ盛りの兄弟は最近、食卓に並ぶ質素な料理を前に嘆くようになった。リクエストに応えたくても、値札を見れば肉はぜいたく品に映る。買い物かごの野菜や豆腐に目をやり「結局いつも代わり映えしないものばかり」。

 7年前に離婚し、シングルマザーに。都内のメーカーで正社員の事務職として働いていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化し、2年前に解雇された。

 フルタイムの仕事は見つからず、派遣社員として食品関係の工場で働く。コロナ禍が尾を引き、取引先の飲食店の仕入れが減るとシフトも急減するため、収入は不安定だ。

 10日投開票の参院選で、与野党は格差是正に向けた公約を掲げている。先月には低所得の子育て世帯を対象にした子ども1人当たり5万円の給付金が国から支給されたが、女性は「食べていくだけでやっと。給付金はうれしいが、その場しのぎで根本的な苦しさは変わらない」と打ち明ける。

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