クロスズメバチ沖縄で初確認 巣は未発見、経路不明 名護・本部で女王蜂捕獲

 沖縄で生息が確認されていないクロスズメバチが本島北部で初めて捕獲されていたことが、5日までに分かった。ここ1年ほどで女王蜂など3匹を捕獲した。巣は見つかっていない。外来種である可能性が高いが、定着は確認されていない。研究者らは生態、分布、在来種への影響を調べるために情報提供を呼び掛けている。

 クロスズメバチの大きさはミツバチより若干大きい13~15ミリ、姿形はスズメバチに似ている。初の捕獲は2021年3月に本部町・八重岳での雄1匹で、同年5月に名護市・多野岳で、22年3月に八重岳でそれぞれ女王蜂1匹が捕まった。

 多野岳と八重岳で女王蜂を捕獲したのは環境省希少野生動植物種保存推進員の名嘉猛留(たける)さんで、蜂を研究する鹿児島大名誉教授の山根正気さんがクロスズメバチと特定した。いずれも日本本土亜種、台湾亜種と異なり、斑紋などの特徴が中国南部・東南アジア大陸部の亜種に極めて似ていた。

 クロスズメバチは一般的なスズメバチと同じく強い毒がある針を持ち、アナフィラキシーショックによる死亡例も報告されている。ただ、スズメバチと比べるとおとなしく、山根さんは「巣を刺激するなど、よほどのことをしない限り人を襲うことはない」としている。

 女王蜂を捕獲した名嘉さんは「中南部から入って北上し、名護や本部に至っている可能性が大きいが、いまのところ中南部では捕獲されていない」とし、侵入経路などを探るために目撃・捕獲情報の提供を呼び掛けている。情報提供先は名嘉さんの電子メールarchaehoney@gmail.comまで。 (安里周悟)【関連記事】
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